2009-05-25から1日間の記事一覧

ジョーカーと「父殺し」

ティム・バートン版『バットマン』でジャック・ニコルソン演じるジョーカーは、ギャングのボスの策略で命を狙われた結果、顔に障碍をおわされ、その復讐としてボスを殺害し、組織を乗っ取る。ボスの手下であった男は、明瞭に「父殺し」の手続きをふんで、ジ…

父の代理物としての世界

「父殺し」を明瞭にしたくない心性というものが、戦後綿々と続いてきたということだろう。父から遺産を受け取るということにたいする内心の葛藤というものから、戦後の人間は逃げすぎたと思うのである。この時期に『卒業』を見たのはいい勉強になった。マイ…

『ぐるりのこと。』(性的半幻論 その九)

父親との関係がうまくいかなかったことが心のしこりとなって、思うような人生をおくれないでいるリリー・フランキー演じる夫が、やはり同じように両親との関係に葛藤をかかえているいる木村多江演じる妻が精神に失調をきたす事態に遭遇する。つねに半端な仕…