2011-02-01から1ヶ月間の記事一覧

日本橋へ

京橋に用があったので、日本橋まで足をのばしてみた。とても寒い。中央通を京橋から日本橋にむかって歩く。スルガ銀行に気温表示板があって、14:01の気温は4度だった。傘をもつ手がかじかんだ。コレド室町など眺める。さすがに表通りの建物のエクステリアは…

トマス・ハリス著菊池光訳『羊たちの沈黙』

池田満寿夫の絵が表紙につかわれている初版を古本屋で発見したのである。トマス・ハリスはくどく、そして面白い。菊池光の語彙(表記)が独特なのは、これはもう多くの人が論じていることだろう。『ハンニバル』でレクター博士からえらい目に遭わされるポー…

『サイコ3/怨霊の囁き』

まだ1990年になっていなかったと思う。子供の頃の私の心に、この映画の1シーンが強く焼き付いたのである(父親のビデオ鑑賞につきあった)。ベイツモーテルに住み込みの臨時雇いになった歌手志望の男が、連れ込んだ女を裸で外に追い出すシーンである。直後の…

夢小説としての「東京三部作」

『怪物がめざめる夜』で、矢部勉が東京を離れるときにかぎって神保登に災難がふりかかる展開は興味深い。なんとも言葉にしがたいひっかかりを読者にのこす。幻想小説の作法のひとつかもしれない。『ドリーム・ハウス』の「にせDD」と神保登は、ある種の対と…

『怪物がめざめる夜』(1993)

放送作家の矢部勉が北海道で発掘した無名芸人を東京に呼び寄せる。矢部らが有志ででっちあげた架空コラムニスト「」を演じさせるためだ。無名芸人の神保登は大衆批判の毒舌でおもわぬ人気を博し、ラジオの世界限定での「時代の寵児」となる。陰湿な性格のも…

芥川賞選評

石原慎太郎と村上龍が『母子寮前』になにを言うか楽しみにしていたのだが、ともに言及なし。川上弘美の評は、慇懃にすぎて可笑しい。いちばんしっくりきたのが山田詠美の評。島田雅彦は、人の心を逆なでする無内容さはいまだ健在といったところ。死ぬまでこ…

やけにいい音

コメントに書いている人がいるが、やけにいい音で録られている。マイクもたくさん立てられているようだ。演者の咳までばっちり拾っている。

聞けば使える

知り合いに面白い人がいて、はじめて聞いた言葉を意味を調べることなくすぐに使いたがるのである。だからしばしば使い方を間違う。あまり本は読まないらしい。音として言葉を知ったら、それはすぐに使えると思っているらしいのである。そしてたしかにそうい…

些末ながら…

http://twitter.com/kokada_jnet/status/33533691280113664 著書イコール全著書というわけでもないでしょうから、間違っているわけでもないのでは。過剰に正確を期するために妙に見えてしまう人というのは、わりといます。

『うるわしき日々』

三輪俊介の後妻として嫁いできた京子が、前夫のもとにのこしてきた子供にあてた手紙を三輪家の面々に読ませる。その手紙は京子の遺言状を兼ねていて、京子が親からうけついだ地所を子供に遺すから、子供は三輪家の遺産を期待してはならないと本人に諭す内容…

『インセプション』は愚作

との小谷野さんの感想。まったく同意見。ノーランは他人から縛られていたほうがいい映画を作る。とはいえ小谷野さんは『ダークナイト』も気に入らないだろうな。『ダークナイト』のジョーカーが、最後に「あなたの肺気腫を悪化させます」の平尾龍一郎のよう…

小谷野さんにおすすめ

ラストの主人公の始末を嫌うかもしれないけれど、小谷野さんが気に入りそうな展開の作品。私はちょっと面白いと思った。映像ソフトが出回るまでしばしお待ちを。

『自殺されちゃった僕』

解説文を書いている春日武彦が著者の仕事(『危ない1号』)を嫌うあまり、著者が被った不幸(妻とふたりの友人の自殺)を、自分の呪いが効力を発揮したのだと嘯いていて、不謹慎なことだなあと思う。なぜ春日がそこまで言ったのかをしばらく考えたのだが、…

『の・ようなもの』(1981)

二つ目の落語家が女子高生を恋人にしようとして失敗する。高校生もその親も、彼の「将来性」が見込めなかったからだ。とはいえ、落語家は、これからの自分の生活にまだささやかな希望をいだいているので、目立って落ち込むようなそぶりは示さない。そして、…

『冷たい熱帯魚』

自分がなにものであるのかを発見してそれを確信するということは、だれの身の上にもおこりうることであり、それほどめずらしいことではないのだが、その仕組みは本人の心のなかのことなので、自分ではなかなか客観的になれないものだ。この映画には、さまざ…