戦後民主主義とは茶々のことである

座談会 昭和文学史 第四巻
三島の調べもののために図書館で読んだのだが、三島についてよりも、井上ひさしが時折入れるつまらない茶々のほうが気になってしまった。最初はむかついていたのだが、「戦後民主主義とは茶々をいれるということ」なのではないかと思い至って、はっとしてしまった。

実は、戦後民主主義というのは発生と浸透の期間があって、三島や安部公房(↑の本でセットで語られる)は戦後の作家ではあっても、戦後民主主義の申し子ではなかった。浸透がすすんだ戦後民主主義を拒否して死んだ三島と、戦後民主主義に屈服してなんだかよくわからなくなってしまった安部公房。民主主義ということをまじめに考えれば、たしかに前衛は余計者なのだ。なんてことだ、正しかったのは井上ひさしのほうなのだ!