野蛮さはあんがいに哲学的である

カリートの道』を見る。これも傑作である。わたしがリアルタイムでデ・パルマを見るのは『ミッション・インポッシブル』からなのだが、どうもデ・パルマにとって映画のCG化という潮流はマイナスに作用したのではないかと思う。

とはいえ、今作と『カジュアリティーズ』と、情理かねそなえた傑作をものしているのだから、駄作を撮ったところで別にいいではないか、と思うのだ。

ジョン・レグイザモを階段から突き落としたアル・パチーノに、ルイス・ガスマンが「こいつ、殺そうよ。殺すんだろ?」と嬉々として尋ねる、というか、せがむ、というシーンがあるのだが、アウトローが殺しを楽しむ心理というのが一瞬垣間見えたような気がして、おお、デ・パルマよ、お前はやはり恐ろしい、と私はひとりごちてしまった。

動いているものが急激にその動きを止めること。これは脳を直撃する哲学的な快感で、学問のない人間にも楽しむことができる「知的娯楽」なのだ。まあ、要するに、猟奇ということですな。