『ミスト』

某監督が全否定し、友人が絶賛という展開を前にして、では確認しようと、勇躍六本木へ…。

なあんだ。

これ、ギャグ抜きで作った『ドリームキャチャー』なのね。『ド』も、視点によっては相当悲惨で、おぞましい物語になり得た。私は『ド』の原作小説を未だ読んでないが、映画よりはシリアスらしい。

まあ確かに某監督の言うように、この『ミ』は、馬鹿映画っちゃあ馬鹿映画なのだが、でも、面白い! ダラボン、充実しているなあ。

狂信による野蛮な愚行というのは、西洋人の悪夢の最たるものであって、たとえばそれを何か崇高なことであるかのように誤魔化して、カーツ大佐というキャラクターを創造した『地獄の黙示録』なんかよりも、この『ミスト』のほうが、チープだが、しかし、正しい! 腹をざくざく刺されて店外に放り出される非番の兵隊くんを、ただただ呆然と眺めるしかない主人公と、私たち観客の不快感、それをエンターテインメントとして提供してくれたダラボンに感謝すべきだろう。この不快さには意味があるのだ。この映画は予言なのだ。私たちの社会から、いつ、「カーモディおばさん」が出てくるやも知れないのだから…。