モノとのあいだの心理学

禁煙にふみきるさいに、その必然性を考えるところからはじめないと、禁煙はうまくいくはずがないと説くのが面白い。代替品への考察などがあって、ガムやアメなどではなく、氷をしゃぶることがベストであることの発見、タバコを吸っていた頃と日常感覚がかわってしまうという報告、などから構成されている。

心理学というのは、こういうところから見直さなくてはならないのではないか、と思うのだ。つまり、「日常」といっても、種々雑多なものごとがつみかさなって「日常」になっているのであって、どれかひとつを「目的語(オブジェクト)」として取り上げて、それを(それだけを)を変更したり加工したりしようなどというのが、どだい間違いなのだ。禁煙成功後の不安定感をかなり詳しく語り、自らその意味を考察する著者には好感を持つのである。

氷だけで禁煙できた! (健康人新書)

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