匿名について

http://b.hatena.ne.jp/hmmm/猫猫先生/?of=100
からいろいろたどって
http://d.hatena.ne.jp/macska/20071219/p1
を読んだ。

なぜ匿名がよろしくないかといえば、反論を公表しても当の匿名氏に意見が届いたかどうか心もとないから、でしかないのではないだろうか。だからこの場合は、もともと顕名と匿名の戦いですらないと、私には思えるのだが。

たとえば、会社員が投書魔で、そのことを会社に知られるのは具合が良くない、というのならわかる。あるいは、ポルノの作家だったとか。でも、投書というのが新聞や雑誌への投稿になったら、また違ってくるか。

しかし、ネットの文章を批評して、それをみずからネット上に載せ、書籍にもしていたら、それを知られたくないというのはなんなんだ、と思う。本業としてだろうと余暇としてだろうと、関係なかろう。

投書は公共性がないし(投書の送り手と受け手とだけで関係が完結している)、ポルノ作家であるということを利害関係のない他人に知られたくはないだろう。利害関係が発生しうるから。

荻上氏が小谷野さんにまったく言及することなく、しかし小谷野さんが荻上氏の言論を不快に思っていて、そこへ偶然に荻上氏の私信を得て、本名を知って、それを公表したとすれば、それはまちがいなく卑怯な行為だろう。

しかし、そうじゃないわけだ。

要するに、びっくりするほどゆるいのだ。著名人に軽口をたたいて、それが許されると思っている。私は『民主主義とは何なのか』をあまりこころよくおもわなかった口だが、それにしても、荻上さん、そりゃちょっと私権の主張にもほどがありませんか、と思う。自分から実名を記した封書を送っておいて、そのことを忘れて、筑摩書房を疑うというのは、人格が自己中心的にすぎる。