破壊衝動、逆縁の想像力

戦後六十年がたち、物資にまみれて、過去にさだめられた約束事にがんじがらめになっている日本社会にあって、想像力というのは、目の前にある事象をいかに無視するかということに目的が変わってしまった。

かつての快い経験(素晴らしき日曜日における未完成交響曲)や、いまだ果たせぬ希望(コーヒー店)を想像するのではなく、すでに実現している自己にとって不快な現実を否定するための想像力になってしまったのだ。

芽むしり仔うちからコインロッカーベイビーズそして現代はなんなのか知らないが、想像力が逆縁の性格のものに狭められていく系譜である。