2009-08-17から1日間の記事一覧

黒沢明における想像力

素晴らしき日曜日から二十数年たって発表されたどですかでんの、想像力という点においての苦さは格別である(しかしこの時点でおれはまだ生まれてもないんだよなあ…)。ほとんど敗北宣言なのではないかとすら思うのである。一九八〇年代に吉本隆明が資本主義…

破壊衝動、逆縁の想像力

戦後六十年がたち、物資にまみれて、過去にさだめられた約束事にがんじがらめになっている日本社会にあって、想像力というのは、目の前にある事象をいかに無視するかということに目的が変わってしまった。かつての快い経験(素晴らしき日曜日における未完成…

想像力の末路

さようなら、私の本よ!の文庫版の著者コメントを立ち読みしたのだが、あいかわらず区切りをつけたい心理を大江はのぞかせていて、やりたい仕事をやれずに死んだ人に申し訳ないからと断筆を撤回したはずなのにどうしたことかと思う。大江健三郎の創作活動は…

想像力の時代

黒沢明の素晴らしき日曜日を見た。よかった。私にとっては七人の侍などよりもずっと尊い映画だと思った。ないものを想像力によってあらしめる。こういう映画をみると、それこそ大江健三郎や大島渚の世代の想像力が不幸であったこと、学生運動世代の想像力が…