人生と賭け

中島ギドーは『ひとを愛することができない』のなかで、石原慎太郎が、命をかける対象がないものは自殺した方がいいといったことに恐れ入ってみせるのだが、これはもしかしたら中島が受け取ったニュアンスとは少し違うのではなかろうか。



人間の領域|人非人の領域



という区別があるとして、「愛せない奴」は人非人だから自殺すべき…と中島は受け取ったのではないかと思うのだが(「愛せない奴」のかわりに「学問の喜びを知らぬもの」「ひきこもり」「性転換者」を代入しているあたりから)、そうではないのではなかろうか。

「自殺した方がいい」の「いい」は、まさしく「その方が良い」の「いい」であって、愛する対象がないまま生き続けることは苦痛だろうからいまのうちに死んでおけと石原は言いたいのではなかろうか。人非人に対する侮蔑としていったのではないと思う。