2009-12-07から1日間の記事一覧

『ひとを愛することができない』

読んでおいてよかった。私の父も、中島の父ほどではないがこういうところがあったし、私の母も、中島の母ほどではないがこういうところがあった(学習院大学への憧れとか)。普通に社会となじみ、普通に家族となじむことができない人間は、わりとざらにいる…

人生と賭け

中島ギドーは『ひとを愛することができない』のなかで、石原慎太郎が、命をかける対象がないものは自殺した方がいいといったことに恐れ入ってみせるのだが、これはもしかしたら中島が受け取ったニュアンスとは少し違うのではなかろうか。 人間の領域|人非人…

イエスの教えとキリスト教

おなじく『ひとを愛することができない』のなかで、中島は「汝の敵を愛せ」という有名な文句にもけちをつけているのだが、私はマタイ福音書の山上の垂訓のあたりを通して読んでみて、違う印象を持った。 イエスは、人に、神を愛せ、神に帰依しろと教えたわけ…

イエスの論理、愛の論理

神と同じ心を持ったなら、その人は神から祝福されるだろう。それは愛する人を祝福するのとおなじくらい自然なことだ。人にできることを神が行えないはずはない。しかし、その心を他人に自慢してはいけない。その相手は神ではないのだから、そうしたがる人を…

「律法学者のようではなく、権威ある者として語る」

2000年前のエルサレムあたりも、価値紊乱の時代だったのだろうか。あらゆる説明が完備されて、しかし言葉はなかった、と。人々は命令と説明とにこづきまわされて、なんのために生きているかもわからなかった、と。まるで「今」のようではないか。どの今が本…