あとから来た人、ソクラテス

新喜劇といえば、いまの日本では吉本のことだが、ニーチェにとっては悲劇を悪くしたものが喜劇で、わざわざ新興喜劇、新喜劇と呼ばずにいられなかった。


悲劇の誕生』などと聞くと、悲劇一般の性質について説いたもののようだが、ニーチェにはそのつもりはなくて、いちばん古く、偉大で、それ以前のものは偉大さに欠けていたのでしかるべくして滅んだ、最初の偉大なものについて19世紀末の地点から思いをはせた文芸評論だったのである。