2010-03-18から1日間の記事一覧

わたしも石川淳を面白く思った口だが…

とはいえ読み通したのは『荒魂』だけ。橋本治がほめつつけなしていたのに興味をひかれたのだが、私には十分面白かった。高橋源一郎が『狂風記』をほめていたが、これは『荒魂』の二番煎じのようで読み通さなかった。武満徹が『鷹』をほめていたので手に取っ…

あとから来た人、ソクラテス

新喜劇といえば、いまの日本では吉本のことだが、ニーチェにとっては悲劇を悪くしたものが喜劇で、わざわざ新興喜劇、新喜劇と呼ばずにいられなかった。 『悲劇の誕生』などと聞くと、悲劇一般の性質について説いたもののようだが、ニーチェにはそのつもりは…

愚と稚

わたしだったら愚であることよりも稚であることを選ぶ。日本はわりかし愚に甘い、愚を時にほめる気風がある。無礼講でバカをする、とか、愚直というのをいいことのように思っているとか、たんに頑なで他人を理解するしなやかさに欠けているだけなのに。 愚で…

愚と稚

俺は俺だぞと頑張るのが愚、もとから自分がないのが稚。 『雪之丞変化』(市川崑)。このゲイな感じが楽しい。まさに戯けの世界である。江戸時代のようになりつつある現代人には、しかしまだまだ見立てることへのおびえがあらあな(すでに江戸時代のように生…