思潮の変転(『リア家の人々』)

もともと学生運動というのは戦前からあるにはあって、しかし大衆を動かしたり大衆に知られたりするほどではなかった、どちらかというと青年将校の血気が知られていたくらいで、しかし戦後労働運動がまずおこって、そして学生運動が盛り上がってきて、1960年以降細分化した、というおおまかな流れがあった。

当時の活字文化の意味というのも重要だ。文三と活字、石原と活字、秀和と活字、静と活字、それぞれの関係が『リア家の人々』において示唆されている。そして(父親が帝大出であるような家庭における)ラジオとテレビ。

細分化の結果、知性と権威のリンクが疑われ尽くして、その流れがポストモダンニューアカブームで底を打って、1990年代は自殺マニュアルを読むしかなくなったのである。