ある肉体の社会的属性を、殺害することでフィックスする

『冷たい雨…』を見ていて強く感じたのは、そういうこと。生きている人間には無数の意味が付着しうるのだ。偶然と、それに付随した仁義を重んじて、主人公たちは組織のボスに反抗する。主人公らのグループは不思議な無常観に浸されている。主人公たちの行動原理は観客にはよくわからないのだが、生きているとはもともとそういう状態のことだ。自分たちがボスによって滅ぼされていくさなかに主人公は笑い出してしまう。強烈な生の高揚感が主人公にその笑いを強いる。