小島信夫「小銃」

新潮現代文学37の版で読んだから、巻末の著者略歴と照らし合わせて、創作が多く含まれているらしいことはわかる(暗号兵だった)。でも、小島が捕虜の処刑の場にたちあったことくらいはあっただろう。

不倫のテーマがすでにあらわれている(といっても著者三十代後半の作)。回想として描かれるシーンでは挿入はないのだが、しかし女は自分が身ごもった子が夫の種ではなくて主人公の種なのだとほのめかしてもいる。