生物と生命

 鈴木貞美の著作歴を調べているときから、「大正生命主義」という語に異様さを感じて、何だこれは、などと思っていたのだが、『日文ナ』の、いよいよ当該項目にさしかかってきた。

 少し前に、鈴木とまったく関係のない文脈で、私は「私は生物には関心があるが、生命には興味がない」と書いていて、すこし、にやにやしながら読み進むのである。

 ちなみに、私は西田幾多郎を、身近に「きたろう」という名の知人がいないせいもあって(しかもややこしいことに、きたろうという俳優がいる)、「ゲゲゲの鬼太郎に似た名前の人だな」としか思ったことがない。社会科の教科書か資料集にあった肖像写真も、なんだか水木マンガ的な面構えに感じたものだ。