2011-04-30から1日間の記事一覧

和田はつ子の小説

よく調べてないのだが、角川ホラー文庫のほうで活躍してから、時代小説の方に進まれているのだろうか。先だって匿名子がくさした文言を小谷野さんが面白がって言及した作家の小説を、どれどれと買ってみたのである。とはいえ、百均コーナーで旧作の『マイン…

生物と生命

鈴木貞美の著作歴を調べているときから、「大正生命主義」という語に異様さを感じて、何だこれは、などと思っていたのだが、『日文ナ』の、いよいよ当該項目にさしかかってきた。 少し前に、鈴木とまったく関係のない文脈で、私は「私は生物には関心があるが…

ふと思う

たとえば、松村雄策と小林信彦のビートルズ論争は、松村が終始慇懃に論を進めていれば、松村の圧勝であったのだが(追記。いまウィキペディアの「ビートルズ論争」を見返したら、それほどでもなかった)、松村には松村の盲点があって「作家たるもの」式の道…

名辞と実質

「大正生命主義」という名称に顕著だが、鈴木貞美はわりと用語法がざっくりとしていて、たとえば過去に存在した「大正生命」という保険会社のことを知ってか知らずか、こういう名付け方をするのである(鈴木の文献を参照していないので、このことはすでに鈴…

週末のアラート

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110501 有職読みは辞書にない! と小谷野さんが警報を発したが、私の手元の集英社国語辞典には「有職」の項があって(あってあたりまえなのだが)、有識者の有識が有「職」に転化した歴史があるらしい。「専門家っぽい…

政府にたいするストックホルム症候群

整理していたVHSのなかから、森谷司郎版の『日本沈没』を発見して、このところ寝ぎわに眺めていたのである。 樋口真嗣によるリメイク版では、草彅剛演じる小野寺俊夫の自己犠牲によって日本沈没(の完了)を辛くもまぬかれるあたりが、話の山場である。 森谷…