「日本語」ではなく「ことば」でいいではないか

そもそも日本に「マザータン」に類する発想がなかった。なかったから、明治になってからマザータンという言葉に対応する日本語をつくった。つまり訳した。


そのときの日本は明治のころで、国家ということを内外につよくうちだすべく配慮されていた時代だった。だから「母国語」と訳された。それだけの話だったのではなかろうか。


そして現在、子供は国家や国家によって指導された自治体、法人によって教育され、また国家によって規制されたマスメディアが家庭に大幅に進出している時代に、「母語」という言葉を使おうというのも法外な話ではなかろうか。「マザータン」と音訳しておけばいいではないか。


私は、学部卒程度の学歴しかないような人間が、言葉づかいに拙いところがある人を指して、「日本語がおかしい」などと表現するのがいやったらしくて仕方ない。「言葉づかいが変だ」でいいではないか。