『アナザー・プラネット』

メランコリア』とビジュアルが似通っていたので、つい好奇心を刺激されてiTunesストアでレンタルしてみた。


低予算映画である。地球の近くに地球そっくりの惑星が出現したという設定の現代、主人公の女学生は飲酒運転で交通事故を起こし作曲家の家族を死なせてしまう。服役を終えた女は人付き合いを避け、学校の清掃員として過ごす。ある日、かつての事故現場に死んだ息子のためのおもちゃをささげる作曲家を見つけて、主人公は作曲家に謝罪しようと彼の家を訪ねるが、彼女は自分が何者なのかを彼に明かせる勇気がなくて、身分を偽って彼との交流を深めていく、というお話。


メランコリア』とちがって、こちらの惑星は地球にぶつかることもなく、なにしろ地球にそっくりで、地球の住む人間たちとすんぶん違わぬ人間たちが向こうの星にも住んでいるらしいという設定になっている。夜空の地球にむかって裸になるシーンは『メランコリア』と共通だが、『アナザー・プラネット』は凍死するために服を脱ぎ捨てるのである。西洋画かなにかにこういう発想のモチーフがあるのだろうか。


オープニングで、1980年代のボイジャー探査機による木星の映像(連続写真)に言及していて、私もこの映像に当時魅了されていたことなど、懐かしく思い出した。


原題は『アナザー・アース』。人と人との関わりを、星と星との関係に重ねあわせるという趣向は、孤独や恋愛、そして生きる意味を考える映画のアイデアとしてなかなかたくみである。低予算映画にアレルギーがない人にはオススメしておこう。


エンドクレジットを眺めると、どうも本国ではプリントを焼いて配給したらしく、SDDSの音響スペックまで備わっていた。