『インシディアス』、死霊と悪魔

なかなか面白かった。家族でも見られるように出血描写を抑えたらしく、英米ではヒットしたようだが、例によって、日本ではさほど評判にならなかった。


私は『シェルター』『レギオン』も楽しんで観たくらいだから、日本と西洋の比較文化論として本作も興味深かったわけである。


この映画の悪者の大ボスは悪魔で、この悪魔が大ボスであってラスボスでないのがミソなのだが、ここを詳述すると、これから見る人の楽しみを削ぐことになるから、それは止めておく。悪魔の周囲に死霊がわらわらと群れ集っていて、その死霊たちが、映画にでてくる家族に襲い掛かるのである。


西洋では、死霊よりも悪魔のほうが上位に来るんだなあ、ということの確認ができた、というのが面白かったのである。


悪魔というのは、ようするに人間の破壊的な心性を具現化したものなのだが、そういうのが、死霊=かつて生きていた人の記憶、現世への執着の具現化よりも恐ろしいものだ、という価値観が、私には興味深いのだ。