2008-05-26から1日間の記事一覧

エリック・レッド脚本『ヒッチャー』

以前見たはずなのに全く内容を憶えていなくて、それでまた借りたのだが、なんでだか理由がわかった。なんの落ち度もない女の子を、悪者に殺させているのだ。これ、だめだろ。ああ、私はモラリストだなあ。あんまりいやな後味ゆえに、私は私の記憶から抹消し…

ブライアン・デ・パルマ『カジュアリティーズ』

デ・パルマ作品で一番素晴らしい。グッドガイがバッドガイに豹変する事情を、脚本・演出・演技どれも過不足なく有機的に絡み合って表現している。マイケル・J・フォックスが無能な兵隊というのがいいのだ。その無能な兵士がモラルの持ち主であるという一点…

リドリー・スコット『ハンニバル』

白装束でベネチアを闊歩するレクター博士は似合わないなと思っていたが、なんだ、あれは『ベニスに死す』への目配せだったのか(原作は未読)。エンディングの夕陽に染まる飛行機は、『ベニスに死す』冒頭の夕闇せまる蒸気船と対応しているのかな。

トーマス・マン『ヴェニスに死す』

予想通り、こちらは、ヨーロッパの死というのは直接の主題ではなかった。世紀末的でもありえたかもしれない官能主義者トーマス・マンの自決の書といった色彩が強い。ここから先よりモラリスティックな芸術家への道をマンは選択するわけだ。ヴィスコンティは…

性に関する随想

ビデオを大量に借りてきて見まくっていたら、たまたま性について考え込んでしまう作品の流れになっていた。『ベニスに死す』で、年老いたバイセクシュアル監督によって、若さへの羨望と、女への失望が描かれているのを見、『動く標的』で60年代ロスの乱倫…