2009-05-19から1日間の記事一覧

イーストウッドは陰湿である

イーストウッドを好きだったり褒めたりするのはかまわないのだが、イーストウッド作品が陰湿なことに言及せずにやたら褒める人は、はっきりいって気持ちが悪い。かつて小谷野さんは、蓮實重彦ほかの映画の好みを「暴力」であると看做したが、微妙に違うと思…

性的半幻論 その四

一神教の神には身体がない。身体がないのに思考が(僧の口なり、教会の書物なりをとおして)信徒に示され、思考の結果が天罰などとしてあらわれる。ようするに父の身体が隠れるわけである。父の居所が不明だから、父殺しもままならないわけだ。私が小学校に…

性的半幻論 その三

あらゆる文化は表現であって、表現として出されたものは限定的であるから、たとえば宗教という文化は通常は偶像をつくる。後発の宗教が、偶像を否定したり一神教になるのは、先行する宗教を否定したいという気持ちのあらわれだろう。岸田先生は、一神教の神…

『その土曜日、7時58分』

監督は八十四歳でこの作品を撮ったらしい。すごい。『グラン・トリノ』ばかりではなく、こっちも褒めなきゃダメ。映像がきたないなとおもっていたら、やはりビデオ収録だった。ハリウッドがどんどん傾斜していく。しかし内容はちゃんとある。音楽が同じ人な…