『陰獣』(バーベット・シュローダー)

そういえばこれも、「あたりまえの損得勘定では損をする複雑な」社会を描いた映画だなあ。原作では上流婦人が猟奇小説を書くわけないという読者の思い込みを利用しているが、この映画版では芸者が猟奇小説を書くわけないという形に変奏されている(あっ)。

いちおう白人(男性)が楽しむために作られた映画だと思うが(冒頭から首チョンパの出血大サービスである)、『ラストサムライ』の小雪もそうだったが、源利華のすらりとした華奢な肢体に、ある種の白人男性は日本女性美を感じるのだろう。あまり背が低いとロリコンと思われるために予防線を張っているのかもしれない。

現代日本がでてくる海外の映画は好きである。日本人監督が撮って、しかしちゃんと外国映画になっていた『シャッター』(奥菜恵)などもいい。実は、日本人が思う自己意識は偏ったもので、外国人の彼らが見た「日本人」こそが、本当の日本人なのかもしれないではないか、と思うのである。

陰獣 [DVD]

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