2010-11-02から1日間の記事一覧

ダメなほうの、宗教

僕はもはや、導かれたり、励まされたり、焚きつけられたりするのは御免だ。(『若きヴェールテルの悩み』角川文庫 佐藤通次訳) これもたまたま『ねじの回転』と一緒に買ったもの。書簡体小説のことを後代の我々は形式として感受するが、当時としては形式破…

キルケゴールやサルトルは医学に興味がなかったのだろうと思うしかない

じつは私は映画も文学も生物学に総合しうると思っていて、しかしフィルムや活字は物だから、生物であるヒトとは食い合わせのよしあしが生じてしまう。言語というのは、人類が最初に創造した「物」なのではなかろうか。実存主義という訳語も罪作りで、実存な…

化け物映画とホラー映画

ついうっかり勘違いをしつづけていたが、ホラー映画とは恐怖の感情を楽しむための映画なのだ。私はホラー、イコール、化け物と思っていたが、それは間違い。この映画は(私にとって)怖くない、というのは、子供の感想。それは「お化けなんているわけない」…

『ねじの回転』は心理学である

アマゾンの小谷野さんのコメントが気になっていて、あらためて古本屋で安く買ったのをパラパラ眺めてみたのだが(5年くらい前に読み通した記憶がある)、ようするにこれって心理学なのだ。当時の最先端の知見をフィクションに盛り込んでいる。いまとなっては…

『ナイト&デイ』

すさまじいまでの合成の嵐。ロケ隊に俳優も同行しているんだろうけれど、データを撮りまくってスタジオで合成して作った画面のほうが多いようだ。CGの荒さを許容するように物語を設定してあるのも、ただただそつがない。DLP上映で見たのだが、自分がなんだか…

『レギオン』再見

なにか胸騒ぎのようなものを感じてふたたび新橋へ。やはりちゃんと見ておいて良かった。どうも西洋人は現世もまた神によって構築された仮想現実であると思いたいようなのだ。だから幸福や不幸があると。それは神の思し召しであると。冒頭のモノローグが「聖…