2010-06-01から1ヶ月間の記事一覧

メタスリラーとしての『ゾディアック』

基本的には客観的なデビッド・フィンチャーの画面演出は、ところどころで演者がカメラを見据える主観描写になるのが巧みである(リー・アレンの尋問シーンなど)。グレイスミスが妻に「犯人の顔を見たいんだ」と言うシーンで、この映画のテーマが語られる。…

センスが…

http://twitter.com/tonton1965/status/15326149785 そうやって「西欧中心主義」ってくくるのって「日本文化論」とどうちがうのか。密室におしこめてサクッとガス殺したり、巨大ビルの倒壊を利用してサクッと大量に殺したりすることに、おののく人はおののい…

空襲と人種差別

そういえば第一次大戦の頃から白人はたがいの都市を空襲しているのだった。黄色人種同士の空襲合戦って、なかったんじゃなかろうか。日帝が一方的に支那の都市を空襲したくらい? じゃあ真珠湾攻撃で白人がこうむった、空襲ずれしているヨーロッパではなくア…

『日本の夜と霧』

素晴らしい作品だなあ…。総括リンチ事件はもとより、オウム事件やスーパーフリーまでぜんぶこみで、集団病理についての考察はこの映画で尽くされてる。価値って何だろう。チームって何なんだろう。ある男がある国のリーダーであることを降りた日に見るのにう…

江戸幻想は東京五輪や万博以降の現代日本の肯定である

小谷野さんからは、そんなのわかりきったことじゃないかと言われそうだが、これはもっともっと囃したてていいのではないかと思うのだ。現代日本をインテリが肯定したら体制派だと思われて具合が悪いから、これを抑圧し、かわりにかれらは江戸をもちだしたの…

『宗教とは何か』

わりと私の耳に心地良さそうなことが書いてある雰囲気だったが、軽く眺めただけ。ドーキンスは「あまたいる無神論者がそれでも抱えている、”信仰を信じる気持ち”」ということを言っていて、これは私なりに言い換えれば「本気になっている人への遠慮」という…

政治のとらえがたさ

無理に一本化しようとすると「日本文化論」になってしまうわけだ。日本文化論というとなんだかもっともらしいが、やっていることは「日本性格論」だもんな。こう呼び方を変えたとたんアホっぽくなる。怒りっぽい人だからって、いつでも怒っているわけないじ…

フォニーなものからの逃避

そういえば、西部邁はサリンジャーを読んだことがあるのだろうか。サリンジャーはヒッピーの源流的なところがあるけれど、外見上はヒッピーと似てはいない(西部はヒッピーを嫌っていつつ、ジーパンなどぞろっと履いて、フーテン然としていた頃があったらし…

『心優しき叛逆者たち』

『全身小説家』を見た勢いで図書館で借りてみたが、面白い。回想シーンでは会話から鍵括弧を外すのが面白い。5月中はずっとおのれを空しくして村上春樹ばかり読んでいたが、やはりこういうほうが読んでいてほっとする。この小説のせいで、面白かったのは60年…

『地球攻撃命令 ゴジラ対ガイガン』

シネパトスで。赤かったけど、ピントが合っていて快感。フィルムセンターはスクリーンが大きすぎる。ギドラが破壊する市街のセットは旧作からのバンクフィルムの流用なので、そこだけ豪華なのが可笑しい。1970年代の予算削減シリーズは、独特の哀感があって…

『ローラーガールズ・ダイアリー』

ふるいクルマばかりでてくる。だからうっかり間違えそうになるけど、これは現代のお話。こういう映画に、分析はいらないな。ただ、日比谷のお客は、些細なくすぐりでいちいち笑う、うっとおしい客だった。おお、これもまたチームについてのお話だったな。家…

『グリーンゾーン』

白けて眺める私と、表現の巧みさに引き込まれる私、両方がいた。チームということを思う。小は家族から(きのうの『アヒルの子』など)、大は国家まで。いいトシなのに必死こいて走る潜伏イラク軍の将軍。それをフォローする将軍のシンパ兵たち。チームの素…

歴史と感謝、偶然と偏屈

ブックオフに『人間みな病気』があったのでつい懐かしくて買って、色川武大の「したいことはできなくて」を再読したら、なんだか高校の頃とは正反対の読後感があった。べつに怖くない。昭和30年代の話だし、今とは状況がいろいろ違うことを考慮にいれても、…

鳩山えらい

約束が履行されないとやめるという流れをかれはつくった。ふふふ、民主主義(混乱)が加速するぞ。

「侮告」という言葉があると思うひとがいる

ググるとけっこうヒットするから、あるとおもってる人がけっこういるんでしょうね。【追記】誣告を侮蔑の高級表現だと勘違いしている人がわりといるのであろうという話。 http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20100601

海中の懐中電灯

そういえば懐中電灯ってあんまりフトコロにはいれないなあ。

『青春残酷物語』

『日本の夜と霧』と間違えて借りてしまった。でも、見ておいてよかった。主人公に年上の愛人がいるあたり、ちょっと『卒業』を連想する。大島自身は、川津祐介の主人公と渡辺文雄の町医者の中間の世代(28歳)から状況を眺めている。堕胎って殺人だから、若…

仮装の死

筒井康隆の「仕事」大研究 (洋泉社MOOK)出版社/メーカー: 洋泉社発売日: 2010/05/31メディア: ムック購入: 7人 クリック: 158回この商品を含むブログ (10件) を見る中島梓が純文学批判を筒井康隆にもとめて筒井はそれに応じられないとしたエピソードを小谷野…

『アヒルの子』の、書きそびれた感想…

長男氏のマンションアパートについた次女氏が、小雨降る夜、たたんだ折り畳み傘の柄だけをのばして階段をのぼっていくのを見て、「ああこりゃキルビルだなあ」と思ったことでした。