2010-01-01から1年間の記事一覧

ところで昨日は小林信彦の誕生日であった

昭和が遠くなって―本音を申せば作者: 小林信彦出版社/メーカー: 文藝春秋発売日: 2007/04メディア: 単行本購入: 1人 クリック: 2回この商品を含むブログ (12件) を見る私は高校生くらいのころ安原顕のファンで、図書館でリテレール関係のムックや、安原の単…

デタラメな歴史

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20101211 『ラストサムライ』は『イングロリアス・バスターズ』が後からでてきて、かなり見え方がかわったような気がする。私は、後者を見て前者も後者の類なのかと卒然として悟って、腑に落ちた。ようするに「考証」とい…

忘れられない努力

たけしがそれをしているのは前からわかっていたが、どうも松本人志もそうしているらしい。松本なんて年末の「笑ってはいけない」でしか、もう見なくなってしまったから(ホントに)、かえって自分以外の世間ではいまもってその地位の確固として盤石なのであ…

読まれる努力

美しいアナベル・リイ (新潮文庫)作者: 大江健三郎出版社/メーカー: 新潮社発売日: 2010/10/28メディア: 文庫購入: 2人 クリック: 18回この商品を含むブログ (12件) を見る文庫コーナーで一瞬わが目を疑った。改題までして、こんな大家も、(若年層に)読ま…

大衆小説、中間小説、純文学

大衆小説に近代思想のフレーバーを帯びさせれば、中間小説ということになるのかな。そうすると、近代のカオスをそのまま表現すれば純文学ということになるのか。はたちになったばかりの男と飲んでいて、森博嗣の『スカイ・クロラ』のことをライトノベルと表…

容貌に関する要望

人は社会といやおうなく関わる、だから容貌については秘匿しきれない。だから容貌について書かれることはプライバシーの侵害にはあたらないと、小谷野さんは考えているようで、そして法律の専門家の意見は私は知らないのだが、やはりこれは無理のある論理だ…

電子出版は通俗小説がお好き?

売れっ子小説家が電子出版に意欲的という内容の、テレビニュース?画面をちらりと目にしたが、それはそうだろう。読み捨てるものだもの。消費者は、最初からプリントアウトしておいてほしいものは、別途入手するものである。

渋谷という街

小林信彦がNHKがあるあたりを、かつて国木田独歩が「武蔵野」に書いたのだと、隔世の感をこめて語っていたのだが、残念なことに(?)、私が歩いたのは日曜の夕暮れで、その寂しさはなかなかのもので、小林とは反対に、「ここがかつての武蔵野の舞台だって?…

「立ち読みは読書にあらず」

現代文学論争 (筑摩選書)作者: 小谷野敦出版社/メーカー: 筑摩書房発売日: 2010/10/15メディア: 単行本購入: 9人 クリック: 165回この商品を含むブログ (25件) を見る小谷野さんの本をすこし立ち読みした。柳美里の項でまたもや思い込みにたよった独断を披瀝…

『しとやかな獣(けだもの)』

高度成長期の日本でがめつく暮らす一家のある日とある日。ちょっとあっけにとられた。表現が徹底しすぎて、新藤兼人とも川島雄三とも縁の遠そうな、そう、安部公房のような世界をすら感じさせる。冒頭題名ロゴでふと思ったのだが、手塚治虫はこういうの好き…

アダルト鬼太郎が復刻されたらしい

ちょっと値のはる講談社KCスペシャル版を古書で買ったばかりなのにな…。ゲゲゲの鬼太郎 青春時代 (角川文庫 み 18-62)作者: 水木しげる出版社/メーカー: 角川書店(角川グループパブリッシング)発売日: 2010/11/25メディア: 文庫購入: 3人 クリック: 45回この…

『稲妻』

性にあわない気がして敬遠していた監督だったが、いつのまにか面白がって見れるようになってきたようだ。成瀬巳喜男と川島雄三はぼちぼちと見ていきたい。

『昭和の東京、平成の東京』

これははじめて読んだ。かなり面白い。1980年前後に一人称が「私」から「ぼく」へ変わるのだが、どういう事情なのだろう。はやくも1960年代に山本夏彦が小林信彦に文章を依頼していたらしいのが、ちょっと印象に残る。昭和の東京、平成の東京作者: 小林信彦…

『交響曲第3番 カディッシュ』

高校の頃、バーンスタインのグラモフォン盤を愛聴していたが、この演奏もいい。録音が鮮烈で、途中から思い立って、わざわざアンプにつないでヘッドフォンで堪能した。まだ陶然としている。

「言葉で変わる」現実

粗食を旨とする私は、冷蔵庫からキャビアを出し、薄く切って炙ったパンに乗せた。紅茶はホテルオークラのティーバッグを用いた。(小林信彦「到達」) たしかに量的には「粗食」なのだ。この話者は発狂している設定だから、文章がなんだかおかしいのは作者の…

大江ののめりこみ

それはわりと明瞭なんじゃないかと思うんですが…。日本には彼の味方って、彼のファンくらいしかいないんだし、彼のファンらは本を出さないんだから引用のしようもない。宗教と自分との応答が密にいってる例として、大江にはキリスト教文学が好ましいし、うら…

しかし、私は小林信彦がわりと好きなのである

かれ独特のいじけ感覚を好くか嫌うかで、小林への評価は分かれるのだろう。小谷野さんが『うらなり』に猛反発したのは意外だったが、しかし、『素晴らしい日本野球』で小林がひきあいにだした批評家(小林の処女出版『虚栄の市』をけなした)の記述を読んで…

犯罪者の気持ちが、「わかる」

これは記憶がさだかでないのでまちがっている可能性があるが、かつて江藤淳が永山則夫の気持ちがわかると言ったそうなのだ。しかしウィキペディアをながめると、江藤は永山の日本文藝家協会入りに反対したとあるので、永山ではない別の人物(犯罪者)かもし…

『発語訓練』のころ

小林信彦の芸人評伝を愛読している友人が、しかし小林の小説のほうはつまらないと決まり文句のようになんどもくり返すうちに、ふつふつと小林への関心が再燃して古い文庫本を買ったのである。『素晴らしい日本野球(「発語訓練」改題)』というのをぱらぱら…

ホンネのネと、ネクラのネ

根暗というのは、表向きはあかるくてしかし根は暗いというタモリの造語だそうだが(こういう考証をはじめると、どうも小林信彦の忍び笑いが聞こえてくる気がするのである)、造語だけに、定着しきるまえに、言葉の誤用というか別語同音素との連合が起ってし…

アフターダーク、さらに

http://twitter.com/tonton1965/status/7837265447362560 これはちょっと違うと思うのですが、要するに左翼や心情左翼は、小林が登場したとき、一瞬だけ本気で期待してしまったのですよ。だから、だからこそ、いまでも攻撃しているのですよ。『ゴー宣』はじ…

アフターダーク

小谷野さんとツルシ元編集長のやりとりを、私はちょうど『レフト・アローン』の復習として受け取ったのだった。ふと思うのだが、宅八郎が切通理作の電話番号を誌面にのせて、しかし何も起らなかった場合というのを考えてしまうのだ。おととい見た『パトリオ…

『羊たちの沈黙』

5年くらい前にみた時は、起っていることの凄惨さに幻惑されていたが、これは視線の映画でもあった。『レッド・ドラゴン』の秀逸な設定(犯人がある職業に従事するせいで被害者の情報を「見る」)を、監督のジョナサン・デミはさらに映画全体に拡張している…

『パトリオット・ゲーム』

1991年の湾岸戦争の翌年に公開された映画だけあって、遠く隔たった地域での殺戮風景を情報機器を利用して快適なコントロールルームからモニタリングするシーンが山場として用意されている。ハリソン・フォード扮するライアンは自らの「闘争」の帰結にすぎな…

見栄えよく、黒々

ユーチューブで朝丘雪路がでるアデランスの昔のCMを見た。http://www.youtube.com/watch?v=VnfpRT5eNds6:00くらいからはじまるやつである。あっと思ったのは、カツラがはげかくしなのは今と同じなのだが、このCMでは、カツラがその場でだけ通用すればいいも…

ベリコフスキーの体温

ベリコフスキー(という表記が好きなのだ)の『衝突する宇宙』のなかで、ベリさんは、マンモスの氷漬け死体があることを、急激な寒冷化、天変地異の証拠として読者に印象づけようとしているけれど、かえってベリさん自身の生物の知識のなさを私たちに教えて…

悪臭恐怖と被害妄想

じっさいに体臭がある人でも、じっさいに陰口をたたかれている人でも、悪臭恐怖は悪臭恐怖だし、被害妄想は被害妄想である。本当に被害にあっているのだから自分のは被害妄想ではないといいはられても困る。

意識と無意識の関係

意識にはじつははじめとおわりがなくて、懸案とその解決、解決によって得られた信念、懸案にまでいたらなかった伝聞、あるいは経験などが、そのなか(意識のなか)をうごめいている。養老孟司が無意識とは身体のことだとのべたことがあるけれど、たしかに身…

「上から目線」

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20101118 そういえば「上からものを言う」という表現がありました。「上からものを言う者の視点」が、転用や誤解の果てに「目線」という演劇用語をとりこんだのではないか。かえって「目線」という表現に以前からなじんで…

やっぱり、「セックス」って口に出しづらい?

ある人と話していて、その人が「ジェンダー」という語を、「セックス」の意味で使うので、(ま反対やん、と)最初とまどったのだが、やはり「セックス」って言うのは気恥ずかしくて、はばかられるものなのだろうか。まさかジェンダーをセックスの穏当な言換…