2010-01-01から1年間の記事一覧

なぜエリートは愛国心をもたねばならないのか

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20101115 なんだかにやにや笑いがおさえられない。たまたまここ数日枕頭の書にしているのが、新・中国人と日本人―ホンネの対話作者: 林思雲,金谷譲出版社/メーカー: 日中出版発売日: 2010/11/01メディア: 単行本購入: 1人…

『レフト・アローン』

第2部。偉大なる独裁者も、大衆を牽引する前衛党も、その輝きを失って、そして…。呉智英や吉本隆明の論敵という認識しかなかった津村喬がでてくる。津村と絓秀実の対談を中断するかたちで、現在の左翼状況の概観がしめされる。そこで絓はスーパーフリーを左…

リーブミー・アローン…

井土さんのイベントで阿佐ヶ谷の会場に行ったら渡された小冊子に鶴見済が写真付きででていて、最近の風貌は知らなかったからちょっと驚いた。『完全自殺マニュアル』って、ようするに「リーブミー・アローン」ってことだよな。オウム前に結論は出されて、そ…

『レフト・アローン』

正しいことの、正しさを引き受ける根拠がなくなってしまった。「大事なことのために、自分を捨てればいいじゃない」。もう捨てれなくなってしまった。そんなの、怖いわ。捨てて、しかし失いきることのなかった人々が出てくる。それは、そうだ。捨てて捨てき…

しかし、じつは、企業は注意喚起表記を嬉々として受け入れるべきである

と思う。各企業が「そんなことしたら自社製品が売れなくなる」と勝手に思っているだけである。そうした企業に雇われたリサーチ会社が、その思い込みにそった市場調査結果の報告を企業に納入するまでである。

「たばこは肺がんの原因とは決まっていない」

たしかその意味するところを養老がくわしく説いていたと思うが(養老って医師免許をとって、インターンをやったことはあっても、医師だったことは一度もないはず。「元医師」って何…)。つまり、たばこ以外の原因で肺がんになることはありえないことが実証さ…

うう…

自分の健康への気遣い無用としながら、見知らぬ他人の健康を気遣うあなたの心得何ならん。そんなに情報や知識が大切なのかね。早老症で生まれた人には「あなたはすぐに死ぬよ」とでも告知するのか。まるでブラックジャックのように。

要するに人間原理

世界超能力百科〈上〉作者: コリンウィルソン,Colin Wilson,関口篤出版社/メーカー: 青土社発売日: 1992/10メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る図書館のこの手の本にひととおり目をとおさんばかりの勢いだ。やはり世代的にも、個人的にもこう…

幻覚の「像」

精霊は昼間だろうが夜だろうが、その姿をはっきりと幻視者の前にさらす。これは古代でも、中世でも、西洋はそうだったらしい。夢枕にたつなんてのもあった。幽霊というのは、精霊でも天使でもないのになんで出てくるの。そういうニュアンスもあったのかしら…

無意識万能論と行動主義

ポルターガイストの説明に、未成年者の無意識のなせる技というのがあったけれど、コリン・ウィルソンはこれに疑義を呈する。まあそうだと思うしかない。私は、大友克洋の未完の超能力短編「Fire-ball」や、『童夢』など、いま読むと絵がうまいだけにかえって…

「ほぼ安全に暮らしているが、恐れもある」

現代日本の天皇制は、制度ならぬ制度というべきものに収まっていて、一般人は気にしなければ空気のように見えないものだけれど、ないわけではない。なにしろ憲法の規定によって、その存在を国民が要請したことになっているのだ、現在も。西洋は、「はじめに…

ベルリン忠臣蔵

作り手は、たぶんクロサワ映画とかが、大好きなんだろう。音楽はヴァンゲリスのフォロワーか。フランケンハイマーは晩年に『Ronin』を撮っているし、彼らの琴線にふれる何かが忠臣蔵事件にあるのだろう。そういえばこういう雰囲気の長回しは廃れてきた気がす…

それだったら…

公平に、ドイツ人にも『舞姫』を批評してもらわねばならん。 冒頭は、篠田先生のわりと初期のハイビジョン合成。すこし前にフィルムセンターでフィルム版の上映も見たが、悪くなかった。

「原爆なめるな」のウソ

http://twitter.com/tonton1965/status/3100643187236864『トータル・フィアーズ』や『インディ・ジョーンズ/クリスタルスカルの王国』などの映画の、原爆の扱いが軽いことに文句を付けることが日本人の決まり文句になりつつあるけど、これって別に「原爆の…

愚痴が一定の様式を得ている国

日本は、愚痴が一定の様式を得ている国なのかもしれないなあ。言語に馴れ馴れしく、あるいはよそよそしく、つきあってきた希有な集団なのかも。なにしろ日本語の愚痴に相当する言葉が、英語には「ぶつぶついう(grumble)」とか「無為な不平(an idle compla…

神とは、礼儀にのっとったうえで、話が出来る

というよりも、話しかけなければ、それは信仰ではないのだ。日本には信仰をもったふりした不信心者がごろごろいる。自分は無神論者だといいきる度胸のある個人はなかなかいない。もちろんりきみかえってそんなこと宣言する必要もない。日本には草木にも神が…

本当は怖くない幽霊

なんでオカルト本を読んでいたのかというと、魂と幽霊の関係を知りたかったから。思ったとおり、幽霊、ゴーストは、魂そのものではなかった。ゴーストライターとか、幽霊部員なんて言葉にニュアンスは顕著だ。いそうだし、いるんだろうけど、実際には見えな…

日記

せっかくなので『チューブラー・ベルズ』を借りて聴いてみた。すべての楽器をひとりで弾いているらしく、すごい。わりと単調なのだが、これは天才肌のアーチストにありがちなこと。最近つきあっている映画でつかわれていたシュニトケの『合奏協奏曲(第一番…

要するにハッタリ

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20101108 私が福田和也を読んでいたのは筒井康隆が褒めていたからで、筒井にたいする催眠術から醒めたと同時に読まなくなっていった。『罰当たりパラダイス』とかを無理に面白がろうとしていた。そういえば私が学生のころ…

映画と音楽

なにしろ映画以前にオペラというものが西洋にはあって、それには序曲というものが奏されていた。開始時間ぴったりにはじまると、遅れてくる客が物語からおちこぼれてしまうのでこういう措置が必要だったのだろう。『2001年宇宙の旅』は、ソフトによっては公…

UFOとキリスト教

私がはじめて見た『未知との遭遇』は「特別編」であって、UFO母船の内部描写はエクストラ(おまけ)でもなんでもなかった。父親がレンタルショップから借り出してベータのデッキでダビングしたものを飽かずくり返し視聴したものである。のちにDVDで再々編集…

客観と映像と信念

衝突というと、船の横腹に直角にぶつかってくるとか、船首にむかって真向かいから来るとか、そういう情景を想像するのだが、これだと、ぶつかっても構わないところに日本側の船が当てさせただけじゃないの、と思ってしまうのだ。「転び公妨」みたいに。北朝…

物語と疑似イベント、子供の視線

ついちらちら『未知との遭遇』を眺めてしまって、そして思ったのだが、スピルバーグの成功の秘密についてである。さすがにもう宇宙人を信じていないので、終盤に登場する宇宙人にはいまとなっては「それはないわ」としか思わないのだが、中盤の情報操作や軍…

コリン・ウィルソン著 関口篤訳『世界不思議百科』

邦訳のある本の邦題を記さず、原題直訳で済ましているのでちょっと面倒である。まえがきでウィルソンが批判する『科学の名における虚妄と誤謬』とは、あの『奇妙な論理』のこと。レンヌ・ル・シャトーの項で、「あれ?」と思って調べたら、やはり『ダ・ヴィ…

別件でユーチューブをうろうろしていたら発見して吹いた

武田鉄矢が「お前も戦え!」と言い放った瞬間に間髪入れずになりはじめる民族音楽らしきものが笑いどころなのであるが、これはもしかしたらそのあとの鉄矢のせりふ「お前はみんなのために死んだほうがいい。馬鹿」を和らげるために入れたのかも知れない。こ…

『息もつけない』

暴力を見ることとその反復をテーマにすえて、映画全編を統一している。見ることが在ることなのだ。後半、なにやら物語が穏便に収束しそうになるのだが、案の定、それは「死亡フラグ」であった。それまでまったく知らなかったサンフンとヨンジェの関係を、一…

『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』

青年の自我確立の苦しみを描いた映画。なかなか良かった。親がいなくて施設で育ったケンタとジュンが「犯罪」を「突破」と読み替えることで、ふたしかな自我をなんとか維持しようとしていた。もちろんこれは家族がいないことの屈辱から目をそらすための方便…

クリスチャンが天皇から勲章をもらってはいけないわけ

クリスチャンが現世権力におもねったらまずいだろう。神だけを王としてそれに従うのだから。それだけのことがなぜ分からない? あとは自己欺瞞の作文をつづる作業がのこされている(のだが、日野原重明は忙しくてそんなことをするひまがないかもしれない。非…

壊れた人間/「自我神」

人は自我を持つことで自分を支えるのだが、その結果として周囲と生ずる軋轢に耐えなければならない。人間存在の矛盾というか宿命である。自我をもつストレスに耐えられない人間が、超自我だけの存在に逃げ込むことがある。公式主義的な人間というのはそうい…

実証できない約束

20世紀に入ってから、近代心霊研究に飽きたらない人々が超心理学をたちあげる。ついに「霊」に依拠することをやめたわけだ。生きてる人間はげんに実在するし、その精神力にいままで知られていない側面があったっていいだろう! というわけだ。もう、やぶれか…