2012-03-01から1ヶ月間の記事一覧

軽蔑の報復

竹内結子が主演する映画『はやぶさHAYABUSA』は、探査機が自ら話し出すズッコケ演出が施されている、というデマが流行したらしい。 わたしは『はやぶさ』劇場上映期間は、あまりはやぶさ物の映画に関心がなく、上記の話を人から聞いたときも、へえそうなんだ…

小谷野さんに

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/ 「以前大評判となったある作家の娯楽小説」が中村真一郎のものだとするのは疑問である。『失楽園』には批判もあったというのを小谷野さんは「ある作家=渡辺淳一説」への反証としているが、石原には批判層が見えなかった…

『SHAME』

生活に不自由していないビジネスマンの男が、心に空虚を抱えていて、ポルノやいきずりの関係や、買春、自慰などで孤独を紛らわしている。誰とも深くつきあわないことで、かえって男は自分の孤独を自覚することから逃げていられたのだが、遠くでくらしていた…

思想

思想は実効性があっても構わないが、なくてもじつは問題ないことを悟った。人はまずはかれが思弁を尽くす様子を見届けなければならない。

生きている兵隊

石川達三の『生きている兵隊』を読んだ。南京攻略に参加した小隊の面々による暴行を描いた もので、印象は鮮烈だ。従軍僧の片山という人物が出てくる。自分も戦闘に参加し、しかし武器の供与はないので、シャベルで敵兵を撲殺する。筒井康隆の『虚航船団』に…

南京アトローシティ

名古屋市長を笑うほどの見識があるわけではないので、図書館から秦郁彦『南京事件』を借りて読んでみた。この本によると、大虐殺があったことは事実で、しかしその人数がわからないということらしい。算出する際に依拠する資料の違いや、計算方法の違いによ…

過労自殺

飲料メーカーの運転手に就職して、激務に疲れて自殺してしまった人の記事を読んだ。鬱病のときにそういう情報を頭に入れるべきではないのに、うっかりしていた。自殺した人は、不定期雇用の時期があって、この就職で生活を立て直したいという希望とこの仕事…

吉本隆明

これもsheepsong55さんの文章に触発されて書くものである。 吉本隆明に、詩人、思想家、批評家、時論家の相貌がそれぞれあったとして、私が唯一親しんだのは時論家としてのそれだった。また、私は視覚的文化全盛期に生まれ育った人間だから、吉本については…

日記

気分がすぐれず、ベッドのなかでぐずぐずしていた。パソコンにダウンロードしていた『遥かなる大地へ』を、寝たままで見る。アイルランドの貧農だったトム・クルーズが、祖国を脱出してアメリカの土地を得るために奮闘する物語である。この映画は、高校生の…

震災記

sheepsong55さんが震災の日のことを回想していて、それにつられて自分もあの頃のことを思い出した。震災の数ヶ月まえに、仕事場が渋谷に引っ越してきて、やっと周囲の雰囲気に慣れてきたころだった。建物が出来て数年の免震設計で、揺れの最中もあまり怖くな…

町山智浩対上杉隆

なかなか面白かった。 公金横領だか着服だかについて、公人のほうに潔白であることの立証責任があるとは個人的には思わないが、法律上どうなのかは知らない。 ソース記述の画面が、映画の『逆転裁判』のCGみたいに、バババと画面に表示されたら愉快であった…

心と体と宗教

最近のテーマは、このようなもので、映画を見るにつけても、本を読むにつけても、いつもこのことを考えている。 心の感じ方や、体の扱いにたいする制御の仕方を学ぶことで、安定を得る。日常という感覚をそうやって創造するために宗教ができたのではないかと…

『へんげ』をオススメする

気がついてみたら、私はずいぶん長い間、変身ということを、ある状態Aからべつの状態Bに遷移すること、というふうに一面的に了解していて、去年の春ごろ、一般よりも一足先にこの映画『へんげ』を拝見させてもらうことで、私はその思い込みに気付かされたの…

場の理論

映画状況論みたいなものにはあまり関心がなく、わたしは映画それ自体も好きだけれども、どちらかというと観た映画から時代の傾向などを抽出することに楽しみをおぼえるほうなので、だからこのブログも映画を評論しているつもりは薄い。自分がじかに経験した…

UMAとしての神

イーグルトンの「イエティ的観点」という切り口は面白い。ようするに彼はドーキンスのような神の理解を、神をUMAの一種のようにみなすことなのではないかと疑っているのだ。この本の翻訳者がrento先生ではなくわたしだったら、ここは悪のりして「UMAとしての…

テリー・イーグルトン『宗教とは何か』

図書館にあったので読み始めている。とりあえず半分まで読んだ。それほど面白いわけではないが、自分の考えをまとめる役には立つ。宗教は、内省(つまり自分の思いや考えを吟味し、まとめる行いのことだ)の機会を生活に組み込んでおく機能を担うものだと私…

「くさい」余話

香水などがきついのと、排泄物などの悪臭とは区別があって然るべきだとおもうのだが、大和言葉はどちらも「くさい」であるようだ。

『ミスティック・リバー』

あらすじが思い出せなかったので見直したのだが、ショーン・ペンがいちばん悪いんじゃねえかこりゃあ、というようなものであった。アメリカ人は勝手にやっててよ、という気分になる。あとペンの妻のキャラクターが前半と終盤とで変わりすぎ。『グラン・トリ…

『乾いた花』(と、『メランコリア』)

かなり特殊なやくざ映画で、やくざの悲しみとか無理解な親分への反抗とか、そういうやくざ映画の定型らしきものはいっさい描かれない。たいていの物事への関心を失った主人公が、唯一自分に興奮を与えてくれる物事、つまりリスクをかえりみず無軌道に生きる…

「くさい」と「見ていられない」のか?

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20120301 なぜ過剰な演技などを「くさい」というのだろうということを少し考えたが、これはその演技が表面上は間違っていないからなのではないだろうか。表面上は、ということはつまり視覚的には、ということである。 つ…

わずらわしさから遠ざかった結果

週刊朝日の北原みのりの傍聴記を読んだのだが、婚活殺人の容疑者の話ができすぎていて眉唾な気がする。私が読んだ号では、肉体関係なしに金を貢ぐ男というのが容疑者にいて、与えられるがままにその被害者から金を受け取っていたそうなのだが、容疑者は独居…