2009-10-01から1ヶ月間の記事一覧

科学登場以前の「思想」

世界はこうである、ととりあえず決めておき、はみ出すものを排除していく。科学が勃興して、理解をはみだすものに直面しつづけるのはあたりまえのことだったのかもしれない。

利己的な遺伝子と構造主義進化論

構造主義進化論における本質概念は「構造」。構造は変転するだけで自然から選択されない。利己的な遺伝子説における本質概念は、DNA中のシストロン(を遺伝子とみなすこと)。これは長期(数億年の単位)にわたって不変だから、自然から選択されて、存続した…

献本の挨拶状

ブックオフでライターK氏の本を買ったら、なかに献本の挨拶状が挿(はさ)まれていた。書面の最後に、新刊案内や書評やウェブページで紹介してもらいたい旨書いてあって、ああ、そういうものなんだと思った。ちょっと別の物事について想起したりして、自分の…

映画斜陽への恐怖

ベスト・オブ・キネマ旬報〈上(1950―1966)〉出版社/メーカー: キネマ旬報社発売日: 1994/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るもう半世紀近く昔の話になるのか…。キネ旬が復刊なって数年後、右肩上がりだった映画産業の業績が急激に悪化しは…

パロディストも原作者に挨拶して居心地悪さを味わうプレイを楽しめ

大家重夫『肖像権新版』(太田出版)に、似顔絵のモデルからにらまれた山藤章二の話が紹介されているが、こういうことも必要じゃないか? 有名税の逆というか…。

金子修介監督かっこいいなあ…

ドミノ理論(ひさしを貸して母屋をとられる恐怖)で読み手をおどかすのには賛成しないけど、まあわかる。サンプリング表現者は、ちゃんと著作権者と交渉する意欲や論理を持て、というだけの話。

『ギルダ』

私の好きなスコセッシの『カジノ』の下敷きっぽい。

盗作とパロディ

有名作品を盗作したらパロディであると開き直られ、無名作品をパロディにしたら盗作と非難される。焦点は作品の自立性から離れ、有名度が問われはじめたわけだ。「記念樹」裁判が、かつて有名だった曲の権利を主張して争われたことが想起される。

パロディもオマージュも

それをしている本人が自覚している以上に、じつは陰湿なことであることを周知させたいのだが、はて、どうしたものやら。すくなくとも宗教を批判する手段としてはまったく無効だと思う。

ドーキンスを読み直している

池田清彦がさかんに遺伝子はDNAであると言い直していた意図が、だんだんわかってきた。しかし、それって「反」ダーウィニズムじゃないような…。本質概念として「遺伝子」を考えた場合…、としてドーキンスは思考をくりひろげているのに、池田はそれをまぜっか…

池田信夫が雨宮処凛をけなしていたが

どっちもどっちだよなあ…。本が売れていることを素直に喜んでればいいではないか。本気で読者を攻撃してこそ本物のきちがい、ではなかった、本物の懐疑者である。

コピーレフト運動

二次的著作者の権利を制限する運動ということならば理解できる。運動にするほどのこととも思えないが。パブリックドメインになった映画のDVDを発売する業者には、一瞬疑問がうかぶが、彼らは正当な商行為を行っている。在庫をかかえるというリスクを負ってい…

現行法下でも、著作権者が許可すればすきなだけ複製が可能なのだ

これを理解していない人が多すぎる。キャリアの長い著述家がこれを理解してなかったりするのだから、もうこの無知無理解は徹底的なものだと思った方がいい。出版社が横やりを入れて、その版はうちのものだから、著者自身から原稿をもらえと要求してくること…

興ざめの部分と、興そのもの

某所で金子修介監督のブログコメントを読む。パロディ作者は原著作者に挨拶したほうがいいのかという問題。もちろんしたほうがいいだろうなあと私は思うのだが、パロディ作者にとってはパロディ作品自体が原作者への挨拶でもあるので、興ざめなところでもあ…

報酬は、仕事に対する対価という以外に、地位に対する対価という意味もある。

仕事をしているから報酬を求める権利があるという論理に舌足らずなものを感じていたが、地位に対する報酬という側面を考慮に入れなければどうしても理屈はおかしくなるのだと気づいた。地位に関わらない仕事というのは、実はないのだ。

本の対価は内容に対する報酬という、日本人の徹底的な誤解

もちろん「著作物が読み易く版として構成され紙に定着し書籍としてまとめられていることに対する対価」に決まっている。内容に対して読者が著者を褒めたいのであれば読者は別途著者に対して寄付金をあたえるべきである。なんでこんなことがわからなかったの…

信頼を かちえぬ理由は 部下のせい

http://headlines.yahoo.co.jp/hl?a=20091009-00000001-jct-soci 自治体は利益を出すことが使命じゃないから、損を出したからって罪悪感にかられる必要はないと思うのだが…。状況が変わって方針を変えた仕事のコストまで損失よばわりされるなんて。これは知…

なんで二度売りをあやまるのか

小谷野さんが著書の内容の二度売りを謝っているが…。二度売りがいけないというのも、暗黙の商慣行だった。出版社が了解していれば何度売りしたって法的には問題ないし、読者にだって文面で報告しておけばいい。同じ話を使い回すのはよくて(そんな著述家はい…

古本

職場の近所に古本屋があって、はじめて本を売りにいったら、思いのほか高く値段をつけてくれてほっとした。ブックオフのせいで、古本にまともな値段がつかなくなってしまって、しかしちゃんとしたところを探すのも面倒だしと困っていたのである。本は、買っ…

時価一円と(ちょー理不尽な)市場参入権

アマゾンとブックオフで、商品の最低価格はそれぞれ1円と105円。前者は実際は341円で、その時価を受け入れる権利の対価に消費者は340円を納めるわけだ(毎回よ)。近所の零細な古本屋では、文庫本の見切り品は一冊50円から40円だ。で、これが…

『昭和のいのち』

若いころの藤竜也がちょっと面白い。裕次郎はこのころから若者らしくはにかんだような声と強面な容貌とが合わなくなっていく。川辺のシーンで、電車が画面の奥を通るのだが(舞台は昭和七年以後)、時代考証の上での表現?したいことができず、のぞまぬ役目…

植草甚一研究

ベスト・オブ・キネマ旬報〈上(1950―1966)〉出版社/メーカー: キネマ旬報社発売日: 1994/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (4件) を見るこの本に植草の「映画とエロティシズム」という文章が再録されていて(1953年3月上旬号(No.58))、内容の…

スクラップのうまい奴

『イカす!おたく天国』をみたときも、レイアウトがきれいだと思ったものが、「映画とエロティシズム」のレイアウトは植草自身なのだろうか。サリィ・フォレストとモンローの全身写真をシルエットにあわせて切り抜いているのが気になったのである。『肉体の…

「強運!大破したホテルの瓦礫の下でサッチャーは生きていたのだ」(『唐沢俊一のトンデモ事件簿』より)

そんなドラマチックな事件があったら当時もっと報道されていたろうし、私たちの記憶にも残っていたろう。でウィキペディアにも言及なし。実際は…。話は変わるが、私の世代でロサンゼルスオリンピックとソウルオリンピックの順番がわからない人はあまりいない…

日本人とスタンダップコメディ

これこそすり切れた紋切り型と思うのだが、「アメリカンジョークはつまらない」というアレだ。日本のMCの流儀に反するのかなあ。最近、無難なスピーチがみんな下手になったなあと思うのだ。変に相手との空気を醸成しようとしてすべってる。淡々と伝えるべき…

偶像の話

偶像の偶は木偶の偶で、ひとがたという意味がある。偶像というのは人のかたちをした像というわけで、「偶像」という単語は字面の上ではfigureの訳語にふさわしそうなものなのに、なぜかidolの訳語になった。そしてそれを許容する経緯も「偶像」という言葉に…

アイドルの話

はてなキーワードで戦後日本におけるアイドルという語の変遷について教えられて面白かった。「スター誕生」という番組の中で、スターの枠におさまらない概念を阿久悠が模索したらしいという逆説が興味深い。

HAL反乱の理由

ベスト・オブ・キネマ旬報〈下(1967―1993)〉出版社/メーカー: キネマ旬報社発売日: 1994/12メディア: 単行本この商品を含むブログ (1件) を見る星新一が『2001年宇宙の旅』についていろいろまぜっかえしている。HALの反乱の理由がわからないとくどく繰り返し…

家なき子/やどろく

なるほど、家なく泣いてる子、を縮めて「家なき子」か…。「主なき」で検索すると、「主なき再審」だの「主なき古城」だの「主なき体」だのいろいろヒットしますが、一音節の単語はないみたい。どれもアクセントがつくのは、語構成というより「なき」につづく…

自己について/家庭

前にも書いたかもしれないが、主観(心)が自己なのか、客観(肉体)が自己なのか、社会的地位が自己なのか、という問題がある。「法は家庭に入らず」という言葉を知って、ふとこのことに考えが舞い戻った。多くの人はこれが渾然としている。自分がわかって…