2010-03-01から1ヶ月間の記事一覧

あとから来た人、ソクラテス

新喜劇といえば、いまの日本では吉本のことだが、ニーチェにとっては悲劇を悪くしたものが喜劇で、わざわざ新興喜劇、新喜劇と呼ばずにいられなかった。 『悲劇の誕生』などと聞くと、悲劇一般の性質について説いたもののようだが、ニーチェにはそのつもりは…

愚と稚

わたしだったら愚であることよりも稚であることを選ぶ。日本はわりかし愚に甘い、愚を時にほめる気風がある。無礼講でバカをする、とか、愚直というのをいいことのように思っているとか、たんに頑なで他人を理解するしなやかさに欠けているだけなのに。 愚で…

愚と稚

俺は俺だぞと頑張るのが愚、もとから自分がないのが稚。 『雪之丞変化』(市川崑)。このゲイな感じが楽しい。まさに戯けの世界である。江戸時代のようになりつつある現代人には、しかしまだまだ見立てることへのおびえがあらあな(すでに江戸時代のように生…

名乗りをあげること

『悲劇の誕生』を読んでる。さすがに20代の人間の文章という気はする。着実に著された『日本アホ・バカ分布考』を読んだ直後だけに、若きニーチェの断定の連続にはくらくらする。 ほんとかどうか調べてないので知らないが、しかしニーチェは優秀な文献学者で…

『ダークナイト』吹替え版

ウェインがデントの方を助けにいったこと(誤解だが)を、レイチェルは、納得と失望と、矛盾する感情をかかえて死んだこと(すごい作劇…)が強調されてて面白い。 ジョーカーはおれは謀ったりしないとうそぶきつつ実は一番計算高い。ジョーカーはなにをいち…

超人と死人

ニーチェの著作から抜粋して、通俗名言集にしたてた本があるらしく、それを池田信夫が批判していたのを面白く思った。ニーチェなんて世界に嫉妬して敗れた人の典型のような者で、かれが死んで数十年後にヒトラーがかれの欲望を模倣して「世界」にかなりちか…

顔見せとして見てる

『龍馬伝』。ひさびさに見たらすげえ顔したおっさんが出ていて、田中泯というひとだった。大河ドラマなんて顔見せみたいなもんじゃねえかよ、突貫工事でガーッとつくったようなものに賢しらな批評をかましてお高くとまってんじゃねえよこの愚民が小ニーチェ…

「堀越捜査一課長殿」

春陽文庫の校正変「テラビ」だって。こういう話を空想だけで組み立てているから乱歩はえらい(そうそうテレビ放送の黎明期にはラーメン屋みたいに「昼休み」があったらしいね)。「叙述トリックになりかかっている」探偵小説。同じ女に別人としてセックスを…

「妙」の揺れ

辞書にはすぐれているとかよいだとか説いてあるけど、これ、どちらかというと「ジャスト」であるということでしょう? 奇妙な、というのは、奇である状態にジャストであるという意味であって、「妙なそぶり」などというのは本当ならば「奇妙なそぶり」と書く…

幼稚なことにたいする恐れ

http://d.hatena.ne.jp/HowardHoax/20090817 この『ダークナイト』評はなかなかいい。私も、ゴードンがデントをまつりあげたり、ジョーカーがフェリー乗客を「信用」していたりなどの、終盤のもろもろには疑問をもった口である。「あまりにも露骨に風呂敷畳…

ゲイ映画『ダークナイト』

どうせだれかが書いているだろうと思ったが私の浅い検索では見当たらなかったので書いておく。 傷をかかえてうじうじしていたウェイン青年は海外からゴッサムシティに仮装プレイをもちこんだ。これが受けてみなが仮装プレイに走るようになって、大量に発生し…

『悲劇の誕生』って、ちょっと立ち読みしてきたけど…

すげえな、最初のページから何言ってるのかわかんないよ。しかも文庫が岩波もちくまも品切れだから、白水社の全集買うほどでもないし。ま、図書館だな。

洒落と比率

私は基本的に駄洒落ばかりの人間なので、つい洒落も地口と混同してしまうが、なにか対象をみつけてきてそれを表象する、しかもわざとつたなく表象する、これが洒落、洒落こむというやつである。駄洒落は、言葉の上だけで、なにかをミミクリするから、人によ…

へいへいへいへい、だから? へいへいへいへい、どうする?

かなり気持ちイイ。

「文化資本」

http://ja.wikipedia.org/wiki/文化資本 下のほうにマックス・ヴェーバーのサムネイル画像があったから、つい吹いたが、しかしこれってどれほど客観的な概念なんだろうか。たとえば近代日本でいうなら、帝国時代の将校の家とかの文化資本は、じゃあ途絶した…

なぜそこで…

http://twitter.com/tonton1965/status/10427433982 なぜそこで「最後の喫煙者」? 作者がリラックスして書いた短編にすぎないのに。こういう場合は筒井作品でくだらないと思う長編をあげましょうよ。

「キャピタル」と「もとで」

日本人にはキャピタルという発想がうすいんではないかと思う。「もとで」という発想はあるけれど。家思想が、明治期に下々にもおりてきて、戦後期に核家族になって、経済が頭打ちになって、さて、というところか。基本的には物を大事にしないですぐに捨てち…

変わりたくないという思いも、欲望である

ブルデューって、読んだことないけど、自分のしていること(まあ、学問か)の意欲も、ようするに欲望なんだってことをふまえていたのだろうか。自然科学者だったら、自分が動物である以上、食欲や性欲を具えていることを当然にわきまえているけれども、「社…

孤独な人にミステリーは面白くない

『ハサミ男』は映画で見たし、『ロートレック荘事件』も断筆宣言のころ読んだが、まあ、なるほどとしか思わなかった。要するに読者の自我が不安におちいることをホビーとして面白がるための手法なんでしょ、そんなあたりまえのことに念を押されてもな、とし…

ハンコのコ

銭コ、というと、田舎者な感じが漂うのに(馬コもそうだな)、判子は判コなのに、そしらぬ顔で普通の言葉ですよというふりをしている。

保身のメカニズム

http://ja.wikipedia.org/wiki/半島を出よ なんだか漫画みたいな話だな。私が作者だったら、総理大臣にはロシアの劇場占拠事件のときのように、犠牲者がでることを厭わずに侵入部隊を全滅させちゃうけど。そのあと辞職しちゃえばいい。ほんとだったら賠償を…

「パロディ」の先触れ

『秋津温泉』は音楽が始終鳴っててうるさいし、物語もなんだか偉そうだなあと感じて、好きではなかったのだが、どこかで読んだ文章には(最近こればっか)、監督はこの作品を太宰のパロディとして仕組んだのだそうだ。『斜陽』とか『人間失格』あたりかしら…

『人間の約束』

これは素晴らしい。『鏡の女たち』は、これのバリエーションという側面もあるのだろう。絵面が似通っている。 なぜ尊属殺人罪なんて規定があったのだろうと、それがなくなった現在には思ってしまうが、要するに人は家で暮らすものという常識が日本にはあった…

これこそ洒落の世界

私の母からの小遣いの約1カ月分ですよ。言ってくれたらあげたのに http://www.iza.ne.jp/news/newsarticle/entertainment/celebrity/367497/ ななめ読みしていたので一瞬なんのことだかわからなかったが、この人はいまの総理大臣を諷刺しているわけである。…

工夫しない人にどこまで高い下駄をはかせるつもりなのか

あたりまえだが、収入よりも低い額でまかなえる生活レベルを維持しなければ生活というものは破綻する。魚柄仁之助が、貧困に喘ぐ貧乏人がカップ麺をすする「ぜいたくさ」をどこかで指摘していたが、そのとおりだと思う。 風呂場の排水がつまって、修理を頼ん…

あ、わすれてた

佐藤慶は『白日夢』に出て干されたんですかね。『コリーダ』は監督が官憲相手に特にがんばっちゃったからじゃないんですかね。

プアな風景

私にはこれは、AVというものを、カウンターカルチャーと位置づけようとする、いわばアングラ文化人のような人たちが持ち上げた映画に思えるのだが、その実態は、ここで描かれるようなものばかりではないはずなのである。その辺をきちんと言う人がいないも…

ただまあ、大学生のことで「学級崩壊」と呼ぶのには違和感がある

http://twitter.com/tonton1965/status/10215599361 大学生が、ですか? それならすごい。平成生まれってすごいなあ。まあペットボトルの茶を飲むくらいなら私もしたことあったが…。 学生が教師の評価にたいする不服を述べることは、これはあっていいのでは…

自己規制がいけないことだとする規範

『ゴー宣』のかなり初期の頃に、読者からのハガキを相手に問答する回があって、小林よしのりに感化された読者が、小林が権威に従うな・自分で考えろといったことを根拠に、小林自身にたいして「先生には従いません」と言ってきたのを、小林がとりあげたこと…

『ゴールデンスランバー』

二回目。 樋口(竹内結子)が青柳(堺雅人)から告白されて、嬉しそうにしながら「遅いよ〜」と「なじる」シーン。私はここ、何度みても陶然としてしまう。ああ、こんなシチュエイション、体験したい。 柄本明が、警察が青柳を狙撃するらしいことを知ってあ…