2011-01-01から1年間の記事一覧

信号と旋律

小谷野さんの挙げる『署長マクミラン』が、『男と女』や『イパネマの娘』のバリエーションに聴こえてしまう…。 偏見かもしれないが、日本人のつくるメロディは、あまり信号っぽくならないのである。現代音楽の作曲家はそうではないのかもしれないが、ポップ…

民間殺人と公共殺人

公共殺人というのは、要するに死刑のことだ。つらつら考えていたが、やはり純粋な殺人というものは死刑以外にはないのではないだろうか。日常的には「殺人」と「死刑」は別物だと考えられているが、しかし、いわゆる殺人というのは、一般人が犯し、政治権力…

虚構の世界における純粋殺人

私などはやはり落語の「死に神」がまっさきに思い浮かぶ。あれは命を蝋燭の炎として描くことで、そのはかなさを表現しているわけだ。本当に命がはかないものかどうかはよくわからないのだが。私は生物に興味があっても生命には関心がないというのは、前にも…

純粋殺人?

小谷野さんの「殺人を犯す素質」というものがよくわからない。(たとえばhttp://twitter.com/#!/tonton1965/status/100374297142497280) エド・ゲインにしろジェフリー・ダーマーにしろ、偏った生育環境と、生まれつきの反社会性、嗜虐性、粗暴性が渾然一体…

『死ね!死ね!シネマ』

現実との妥協を映画ファンから嗤われ、さらには表現の不徹底を信者の女子高生からなじられた映画監督が、屈辱と悔恨の苦しみから発狂して、自ら連続暴行殺人の犯人に変貌し、またその様子を自分で撮影する。究極の衝撃映像をものしたわけである。かれは自殺…

『悪魔のいけにえ』

眼のクローズアップがやたらにあることを、以前はみすごしていたようだ。自分がいかに漫然と映画を観ているのかを思い知らされる。 私がこの映画で一番怖いと感じるシーンは、肉吊り用のフックに人間が生きたまま引っ掛けられるところである。一方、チェーン…

『ヘルハウス』

ホラー開眼体験をする前には、これがいちばん私の怖いホラー映画であったのだが、いま見直すとそんなに怖くはない。役者の演技でもたせている映画である。なにより、死霊が生前のうちに死後のことを考えて、部屋を鉛張りにしていたというオチがあまりに「科…

ゾンビ対サメ、『サンゲリア』

私などがいまさら論評するまでもないくらいの有名作。『死ね!死ね!シネマ』に関わったことで、私のなかにかつてあったホラーへの嫌悪感のようなものがなくなったので、いろいろ観てみたくなったのである。 制作当時、『ジョーズ』と『ゾンビ』がはやってい…

匿名批判と迷惑防止の原則

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110723 小谷野さんの主張は、要するに、批判という行為には、その対象が迷惑を感じるという副作用がついてくるから、その副作用をできるだけ管理できるようにしよう、というものだ。 深沢明人の文章は、小谷野の感覚に…

主語と述語のリンクが外れるとき

五刷の人の話。そういえば彼は「『…やっぱり紙の…』は5刷になっている」とは言っていないはず。彼は読み手に文脈上での主語を探させる類の論法を好んでいる様子だ。ようするに省略がいちじるしいのだ。 敵は自分(五刷の人)を嫉妬している→(返答)新刊が…

割れた鏡

[DVD]" title="嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん [DVD]">嘘つきみーくんと壊れたまーちゃん [DVD]出版社/メーカー: 角川書店発売日: 2011/07/08メディア: DVD購入: 3人 クリック: 60回この商品を含むブログ (26件) を見る連続殺人事件の起こる街に、かつて…

上から下から

http://twitter.com/#!/tonton1965/status/91728937394245633どれどれと思って本屋で現物をみたら、屋内の天井からのビーム照明で、上から照らされて顔に影がさしている写真であって、たしかに無難な写真とはいいがたいが、まあ普通の写真であった。上から照…

う〜ん

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110714 そもそも「母国語」は、「母国/語」なのだろうか。「母/国語」だと思うのだが。マザータンを「母国語」と訳したのは誰か知らないが、たぶん明治の人なのだろうが、この表現には機知を感じるのだけれども、母語と…

「日本語」ではなく「ことば」でいいではないか

そもそも日本に「マザータン」に類する発想がなかった。なかったから、明治になってからマザータンという言葉に対応する日本語をつくった。つまり訳した。 そのときの日本は明治のころで、国家ということを内外につよくうちだすべく配慮されていた時代だった…

見えないものを何にたとえよう

ジョルダーノ・ブルーノの本を読みはじめている。なかなか面白い。 神を別の何かに例えることに倦みはじめた時代の、ある男の思惟の記録というわけである。 ブルーノから数百年、神どころか、人類や民族、国家、階級について、それらが確固として自分の内外…

『大衆の反逆』

大衆という言葉を、私はよくわからないままに使っていたが、オルテガはどうやら、自分の知っていることだけで世界を判断してしまう短慮の持ち主のことを大衆であるとしていたようである。人が多くいるだけでは大衆ではないだろう。 知識はかならず固定的なも…

こんどは『喜劇』

3月のはじめに深田くんの『歓待』についてこのブログで触れたのだが、私ごときが心配する必要もないくらい海外ではウケて(私の予想をはるかに超えて反響が広がっている)、国内でもけっこうな数の人がこの作品を観たようである。 余勢をかって、深田くんの…

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110710 「かっぱらって」という表現があるのに軽く驚かされる。夕刊読売というのは読売新聞の夕刊という理解でいいのだろうか。

メモ

フリッツ・ラングの『暗黒街の弾痕』の原題が"You only live once"なのだそうで、これは知らなかったが、『007は二度死ぬ』"You only live twice"はこれを踏まえているわけだ。

松本龍辞任

テレビのまえで堂々と偉そうに振舞って私含む視聴者の反感を買ったのは、田中康夫の名刺を破るか丸めるかした長野県の重役かだれか以来の出来事である。そう考えると、十年くらい日本人は大人しかったんだなあ、とも思う。 私は完全監視社会肯定論をとなえる…

繭と土

小谷野さんがカブトムシは蛹になることを知らなかったか忘れたかしていた話には、私はちょっと驚いてしまって、もちろん男の子はこういうことに興味をもつものだという私の前提がジェンダーにとらわれたものだというのは承知しているが、それならばなぜ変態…

さすがに「辞任までのカウントダウン開始」としか思えない。

雑な人間に騒ぎを起こさせて辞めさせるとか、そういうどたばたを直接批判を避ける手として用いるという、そういう菅直人のたくらみなのだろうか。(追記)辞表を出した。

『1900年』を見た。

地主の孫と、小作人頭の孫の友情と葛藤を描く作品で、地主の使用人からファシスト党に入った男が社会の変化をかれらの地域に呼び込む。このファシストを演じたドナルド・サザーランドが物語を推進する触媒となっているわけだ。第一次大戦や第二次大戦の描写…

長谷川町子と大橋巨泉

ちょうど長谷川の新聞連載がとぎれがちになり、彼女が表舞台から退場するころに、入れ替わるようにして有名人になっていった巨泉である。 戦後昭和を代表する人物など、ほかにもいくらでもいるだろうけれど、とりあえず私が幼少期からその仕事をながめていた…

ユーチューブから

「クイズダービー」の回答者席が6枠まであった時代を知らないので、映像でみれてうれしい。たけしの短命番組の映像にもふれることができるが、巨泉とタレントとしての型が違うことがよくわかる。 ファンとアイドルがならんでひとつのステーカー席にすわるっ…

う〜む

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20110629 カブトムシはさなぎになりますよう。 無変態と不完全変態が小谷野さんのなかでごっちゃになった模様。ゴキブリってさなぎにならないのか…。まあ、幼虫段階からあの形だし、そういえば、そうか。

我が家もデジタルテレビに移行

といっても、PSPにワンセグチューナーをつけたシステムの映像を、もとからあったブラウン管のテレビに流し込んだだけだが…。 わずらわしいのでアンテナ線の同軸ケーブルかたづけちゃった。 画は汚いけど、音は不満がないので当分はこれでいいか…。

『エプロンおばさん』

『サザエさん』と『いじわるばあさん』は親が蔵書していたので、幼児のころから親しんでいたが、この作は読んだことがなかった。両作をブレンドしたような、優等生的でもなく皮肉もそうきつくない、いわゆる中期長谷川マンガだと思った。

『天国の日々』と『風の谷のナウシカ』

『天国の日々』の麦畑をイナゴが襲い、駆除の大騒ぎから火事になっていくシーケンスの演出や音楽は『風の谷のナウシカ』のトルメキア飛行艇墜落と腐海の火炎消毒の大騒ぎのシーケンスに影響を与えていると思うのだが、どうだろう。天国の日本公開はナウシカ…

テレビその他

テレビが面白かったのは1960年代だという意見はちらほら目にしていて、いま読んでいる大橋巨泉の自伝など読んでも、そうだったのかもしれないな、という気はする。 小林信彦の『テレビの黄金時代』も、けっこう前に読んでいるが、私は歌謡曲に興味がなくて(…