2010-11-01から1ヶ月間の記事一覧

本当は怖くない幽霊

なんでオカルト本を読んでいたのかというと、魂と幽霊の関係を知りたかったから。思ったとおり、幽霊、ゴーストは、魂そのものではなかった。ゴーストライターとか、幽霊部員なんて言葉にニュアンスは顕著だ。いそうだし、いるんだろうけど、実際には見えな…

日記

せっかくなので『チューブラー・ベルズ』を借りて聴いてみた。すべての楽器をひとりで弾いているらしく、すごい。わりと単調なのだが、これは天才肌のアーチストにありがちなこと。最近つきあっている映画でつかわれていたシュニトケの『合奏協奏曲(第一番…

要するにハッタリ

http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/20101108 私が福田和也を読んでいたのは筒井康隆が褒めていたからで、筒井にたいする催眠術から醒めたと同時に読まなくなっていった。『罰当たりパラダイス』とかを無理に面白がろうとしていた。そういえば私が学生のころ…

映画と音楽

なにしろ映画以前にオペラというものが西洋にはあって、それには序曲というものが奏されていた。開始時間ぴったりにはじまると、遅れてくる客が物語からおちこぼれてしまうのでこういう措置が必要だったのだろう。『2001年宇宙の旅』は、ソフトによっては公…

UFOとキリスト教

私がはじめて見た『未知との遭遇』は「特別編」であって、UFO母船の内部描写はエクストラ(おまけ)でもなんでもなかった。父親がレンタルショップから借り出してベータのデッキでダビングしたものを飽かずくり返し視聴したものである。のちにDVDで再々編集…

客観と映像と信念

衝突というと、船の横腹に直角にぶつかってくるとか、船首にむかって真向かいから来るとか、そういう情景を想像するのだが、これだと、ぶつかっても構わないところに日本側の船が当てさせただけじゃないの、と思ってしまうのだ。「転び公妨」みたいに。北朝…

物語と疑似イベント、子供の視線

ついちらちら『未知との遭遇』を眺めてしまって、そして思ったのだが、スピルバーグの成功の秘密についてである。さすがにもう宇宙人を信じていないので、終盤に登場する宇宙人にはいまとなっては「それはないわ」としか思わないのだが、中盤の情報操作や軍…

コリン・ウィルソン著 関口篤訳『世界不思議百科』

邦訳のある本の邦題を記さず、原題直訳で済ましているのでちょっと面倒である。まえがきでウィルソンが批判する『科学の名における虚妄と誤謬』とは、あの『奇妙な論理』のこと。レンヌ・ル・シャトーの項で、「あれ?」と思って調べたら、やはり『ダ・ヴィ…

別件でユーチューブをうろうろしていたら発見して吹いた

武田鉄矢が「お前も戦え!」と言い放った瞬間に間髪入れずになりはじめる民族音楽らしきものが笑いどころなのであるが、これはもしかしたらそのあとの鉄矢のせりふ「お前はみんなのために死んだほうがいい。馬鹿」を和らげるために入れたのかも知れない。こ…

『息もつけない』

暴力を見ることとその反復をテーマにすえて、映画全編を統一している。見ることが在ることなのだ。後半、なにやら物語が穏便に収束しそうになるのだが、案の定、それは「死亡フラグ」であった。それまでまったく知らなかったサンフンとヨンジェの関係を、一…

『ケンタとジュンとカヨちゃんの国』

青年の自我確立の苦しみを描いた映画。なかなか良かった。親がいなくて施設で育ったケンタとジュンが「犯罪」を「突破」と読み替えることで、ふたしかな自我をなんとか維持しようとしていた。もちろんこれは家族がいないことの屈辱から目をそらすための方便…

クリスチャンが天皇から勲章をもらってはいけないわけ

クリスチャンが現世権力におもねったらまずいだろう。神だけを王としてそれに従うのだから。それだけのことがなぜ分からない? あとは自己欺瞞の作文をつづる作業がのこされている(のだが、日野原重明は忙しくてそんなことをするひまがないかもしれない。非…

壊れた人間/「自我神」

人は自我を持つことで自分を支えるのだが、その結果として周囲と生ずる軋轢に耐えなければならない。人間存在の矛盾というか宿命である。自我をもつストレスに耐えられない人間が、超自我だけの存在に逃げ込むことがある。公式主義的な人間というのはそうい…

実証できない約束

20世紀に入ってから、近代心霊研究に飽きたらない人々が超心理学をたちあげる。ついに「霊」に依拠することをやめたわけだ。生きてる人間はげんに実在するし、その精神力にいままで知られていない側面があったっていいだろう! というわけだ。もう、やぶれか…

悟らぬ人へ与えられるかりそめの解決策

そういえば「流行」って、そうだよね。だから宗教は流行を敵視するのか。

迷いと悟り

http://d.hatena.ne.jp/NATROM/20070707 某所から流れていってここを読んだのだが、そんなに怖いことだろうか?個人的には「ひでー話だな」とは思うが、それこそ思想の自由なのだし。私なんか、テレビでたまにやる大家族ものだって不気味に思えるけど…。死ん…

非科学から疑似科学へ

エクトプラズムというのは子供の頃からテレビをつうじて知っていたが、小便や鼻水みたいなものだとは思わなんだ。煙みたいなものだと思っていた(エクトプラズムを出したら体重が減るのだそうだ)。心霊事典を読んで驚いているところ。物質が出なくては科学…

板坂剛研究

1970年代後半の『映画芸術』の表4ほかの場所で板坂剛というひとが、村上龍にたいするネガティヴキャンペーンのPR広告を打っていたことを知る人は、もはや数えるばかりとなってしまったことだろう(なんだこの文体は)。1977年10月号。「先行馬」の「試作第…

余計なことながら…

http://twitter.com/yomoyomo/status/29565398416 ふと思ったのは、講談社文庫版の著者自筆略歴(こんなもの書かせていた時代があったのです)以外でこのことを知った人はどれくらいいたのだろうかということ。私は掲載誌にあたっていないのでもしかしたらそ…

要するに良心の問題

宮崎さんがイーグルトンの『宗教とは何か』について長文を書いていたが、ミスタッチが直されないのがぽろぽろあってなんだか心配になってしまう(黒古さんを彷彿するわけ…)。アメリカという存在が、多くの人の「良心」をうずかせる。アメリカについてついコ…

実は愛憎の問題

ロシアの大統領がツイッターをやっているらしいということが可笑しい。黒子の人が入力しているのだろうが。日本の首相が北海道を視察したから、沖縄を訪れたから、アイヌが、ウチナーチュが抗議したという話は聞かない。とはいえ不快に思う層も一定はいるの…

騒霊は騒ぐ霊、幽霊は幽かな霊

『ねじの回転』を手にとったついでに、『心霊現象を知る事典』(春川栖仙編 東京堂出版)を読んでいる。19世紀の人は、心霊現象研究に近代が訪れた! と勝手に思ってしまったらしいのだ。ハイズヴィル現象からSPR創設の流れまでは、私は『幽霊を捕まえようと…

ダメなほうの、宗教

僕はもはや、導かれたり、励まされたり、焚きつけられたりするのは御免だ。(『若きヴェールテルの悩み』角川文庫 佐藤通次訳) これもたまたま『ねじの回転』と一緒に買ったもの。書簡体小説のことを後代の我々は形式として感受するが、当時としては形式破…

キルケゴールやサルトルは医学に興味がなかったのだろうと思うしかない

じつは私は映画も文学も生物学に総合しうると思っていて、しかしフィルムや活字は物だから、生物であるヒトとは食い合わせのよしあしが生じてしまう。言語というのは、人類が最初に創造した「物」なのではなかろうか。実存主義という訳語も罪作りで、実存な…

化け物映画とホラー映画

ついうっかり勘違いをしつづけていたが、ホラー映画とは恐怖の感情を楽しむための映画なのだ。私はホラー、イコール、化け物と思っていたが、それは間違い。この映画は(私にとって)怖くない、というのは、子供の感想。それは「お化けなんているわけない」…

『ねじの回転』は心理学である

アマゾンの小谷野さんのコメントが気になっていて、あらためて古本屋で安く買ったのをパラパラ眺めてみたのだが(5年くらい前に読み通した記憶がある)、ようするにこれって心理学なのだ。当時の最先端の知見をフィクションに盛り込んでいる。いまとなっては…

『ナイト&デイ』

すさまじいまでの合成の嵐。ロケ隊に俳優も同行しているんだろうけれど、データを撮りまくってスタジオで合成して作った画面のほうが多いようだ。CGの荒さを許容するように物語を設定してあるのも、ただただそつがない。DLP上映で見たのだが、自分がなんだか…

『レギオン』再見

なにか胸騒ぎのようなものを感じてふたたび新橋へ。やはりちゃんと見ておいて良かった。どうも西洋人は現世もまた神によって構築された仮想現実であると思いたいようなのだ。だから幸福や不幸があると。それは神の思し召しであると。冒頭のモノローグが「聖…