2012-01-01から1年間の記事一覧
上杉隆がジャーナリストの条件として「間違いは許されるけど、嘘は一発でアウト」という意味のことを言ったか書いたかしたらしく、しかし、私なんかは「こいつ、自分の言っていることの意味わかって言ってんのかなあ」と、どす黒いニヤニヤ笑いを浮かべてし…
テレビ番組の影響からか、都市伝説という言葉の意味内容に拡張が起こって、陰謀論や有名人についての誤伝まで都市伝説と呼ぶようになって、kokadaさんはこの傾向をかなり嫌悪しているようなのだが、小谷野さんまでがこの「都市伝説」を使っているのをみてち…
なかなか面白かった。家族でも見られるように出血描写を抑えたらしく、英米ではヒットしたようだが、例によって、日本ではさほど評判にならなかった。 私は『シェルター』『レギオン』も楽しんで観たくらいだから、日本と西洋の比較文化論として本作も興味深…
小谷野さんのブログで、こんどはじめて米光一成や川田宇一郎の名前を知った。 小谷野さんの短評をみると、どうも数字の辻褄あわせという名の知的操作に著者が没頭した「謎本」であるらしい。 私はこの手の書き物にかなり強い嫌悪感を持っていて、これはもし…
DVDで繰り返し見ていたら、だんだん『インセプション』が好きになってきた。 劇場で観たときの理解には、間違いもあったようで、この作品はやはり、最初は日本語吹き替えで見たほうがいいのではないかと思った。DVDには、ポルトガル語吹き替えの音声も収録さ…
数秘術まがいの文芸評論は、小説をなにか「普遍」という氷山の、海面につきでた一角のように思っているのではないか。 そもそも「影響を受ける」というのは、先行するクリエイター(この語は皮肉である)の要素を、馬鹿正直に引き継ぐことであるのか。 数秘…
ふと思い出した。むかし草野仁がワイドショーの司会をしていたことがあって、どんな行きがかりでそうなったのか、いまの私は忘れてしまっているが、スタジオの面々が自殺について考える流れとなって、人間生きてりゃつらくて自殺したくなるときがあるという…
立ち読み。安冨歩は、私には羽入辰郎とおなじカテゴリーに入る人という印象がある。 カルト的なものを憎むあまり自らもカルト的になってしまう人という感じなのだ。 東大的相対主義の系譜というものがあるのではないか。目立つ論者に養老孟司や橋本治がいて…
戦後社会の最初の欺瞞は、やはり戦後憲法や天皇の扱いにあるのではないか。 安冨は『原発危機と「東大話法」』で、戦後の配給のようすを写した写真を掲げて、戦争中のマインドコントロールが解けた人々は、こんなに屈託なく笑うのだという趣旨の説明を行って…
きのうの日曜日は、安冨歩の文章を読みたくて、「一冊の本」を探して新宿の紀伊国屋や高田馬場の芳林堂までさまよったが、どこも品切れだった。 「東大話法」の本もちょっと興味があったが、買うほどとは思わず。 区の図書館の本館まで足を伸ばしたがここに…
トビー・ジョーンズとスタンリー・トゥッチという、わりに好きな俳優が出ていたので、そこそこ楽しんだのだが、オススメというほどではない。 悪役の造形が平板で、これは続編にも登場するからなのかよくわからないが決着がつかずに終わってしまうし、残虐で…
虐殺器官とはずいぶん物騒なネーミングで、これはいったい何かと思って読み進めたら、個人的な憎しみからではなくあくまで政治的な判断として他人や他のグループを抹殺していいとの判断を促す文法が、人間には生得的にその脳に仕組まれていて、そして脳は人…
竹内結子が主演する映画『はやぶさHAYABUSA』は、探査機が自ら話し出すズッコケ演出が施されている、というデマが流行したらしい。 わたしは『はやぶさ』劇場上映期間は、あまりはやぶさ物の映画に関心がなく、上記の話を人から聞いたときも、へえそうなんだ…
http://d.hatena.ne.jp/jun-jun1965/ 「以前大評判となったある作家の娯楽小説」が中村真一郎のものだとするのは疑問である。『失楽園』には批判もあったというのを小谷野さんは「ある作家=渡辺淳一説」への反証としているが、石原には批判層が見えなかった…
生活に不自由していないビジネスマンの男が、心に空虚を抱えていて、ポルノやいきずりの関係や、買春、自慰などで孤独を紛らわしている。誰とも深くつきあわないことで、かえって男は自分の孤独を自覚することから逃げていられたのだが、遠くでくらしていた…
思想は実効性があっても構わないが、なくてもじつは問題ないことを悟った。人はまずはかれが思弁を尽くす様子を見届けなければならない。
石川達三の『生きている兵隊』を読んだ。南京攻略に参加した小隊の面々による暴行を描いた もので、印象は鮮烈だ。従軍僧の片山という人物が出てくる。自分も戦闘に参加し、しかし武器の供与はないので、シャベルで敵兵を撲殺する。筒井康隆の『虚航船団』に…
名古屋市長を笑うほどの見識があるわけではないので、図書館から秦郁彦『南京事件』を借りて読んでみた。この本によると、大虐殺があったことは事実で、しかしその人数がわからないということらしい。算出する際に依拠する資料の違いや、計算方法の違いによ…
飲料メーカーの運転手に就職して、激務に疲れて自殺してしまった人の記事を読んだ。鬱病のときにそういう情報を頭に入れるべきではないのに、うっかりしていた。自殺した人は、不定期雇用の時期があって、この就職で生活を立て直したいという希望とこの仕事…
これもsheepsong55さんの文章に触発されて書くものである。 吉本隆明に、詩人、思想家、批評家、時論家の相貌がそれぞれあったとして、私が唯一親しんだのは時論家としてのそれだった。また、私は視覚的文化全盛期に生まれ育った人間だから、吉本については…
気分がすぐれず、ベッドのなかでぐずぐずしていた。パソコンにダウンロードしていた『遥かなる大地へ』を、寝たままで見る。アイルランドの貧農だったトム・クルーズが、祖国を脱出してアメリカの土地を得るために奮闘する物語である。この映画は、高校生の…
sheepsong55さんが震災の日のことを回想していて、それにつられて自分もあの頃のことを思い出した。震災の数ヶ月まえに、仕事場が渋谷に引っ越してきて、やっと周囲の雰囲気に慣れてきたころだった。建物が出来て数年の免震設計で、揺れの最中もあまり怖くな…
なかなか面白かった。 公金横領だか着服だかについて、公人のほうに潔白であることの立証責任があるとは個人的には思わないが、法律上どうなのかは知らない。 ソース記述の画面が、映画の『逆転裁判』のCGみたいに、バババと画面に表示されたら愉快であった…
最近のテーマは、このようなもので、映画を見るにつけても、本を読むにつけても、いつもこのことを考えている。 心の感じ方や、体の扱いにたいする制御の仕方を学ぶことで、安定を得る。日常という感覚をそうやって創造するために宗教ができたのではないかと…
気がついてみたら、私はずいぶん長い間、変身ということを、ある状態Aからべつの状態Bに遷移すること、というふうに一面的に了解していて、去年の春ごろ、一般よりも一足先にこの映画『へんげ』を拝見させてもらうことで、私はその思い込みに気付かされたの…
映画状況論みたいなものにはあまり関心がなく、わたしは映画それ自体も好きだけれども、どちらかというと観た映画から時代の傾向などを抽出することに楽しみをおぼえるほうなので、だからこのブログも映画を評論しているつもりは薄い。自分がじかに経験した…
イーグルトンの「イエティ的観点」という切り口は面白い。ようするに彼はドーキンスのような神の理解を、神をUMAの一種のようにみなすことなのではないかと疑っているのだ。この本の翻訳者がrento先生ではなくわたしだったら、ここは悪のりして「UMAとしての…
図書館にあったので読み始めている。とりあえず半分まで読んだ。それほど面白いわけではないが、自分の考えをまとめる役には立つ。宗教は、内省(つまり自分の思いや考えを吟味し、まとめる行いのことだ)の機会を生活に組み込んでおく機能を担うものだと私…
香水などがきついのと、排泄物などの悪臭とは区別があって然るべきだとおもうのだが、大和言葉はどちらも「くさい」であるようだ。
あらすじが思い出せなかったので見直したのだが、ショーン・ペンがいちばん悪いんじゃねえかこりゃあ、というようなものであった。アメリカ人は勝手にやっててよ、という気分になる。あとペンの妻のキャラクターが前半と終盤とで変わりすぎ。『グラン・トリ…